政治の二極化
アメリカ民主主義がガチでやばいのは今さら否定しようがない。トランプは軍・司法省・規制当局・貿易政策・選挙人名簿・連邦支出、使えるものは全部ぶち込んで批判者を潰し、永続的な権力固めに動いている。
G. Elliott Morris(政治学者グループ「Bright Line Watch」の知見を紹介):アメリカはもはや「非自由民主主義(illiberal democracy)」と格付けされた。まだ選挙で負けることはある、つまり完全な独裁ではない。が、国家権力で天秤をぐいっと傾けており、民主主義は瀕死状態。 既存のレガシーメディアはこの現実を直視できないか、意図的に隠蔽しようとしている。「ウォーターゲート以上の不祥事」とかいまだに言ってるが、トランプ政権はそれを週に何度もやらかすレベルで、そんな表現じゃもはや笑い話。
ニクソンはトランプに比べりゃ小物で、しかも自分の党に見捨てられた。一方トランプは、反対派の正統性すら認めないほど極端化した共和党に支えられており、何をやっても誰も止めない。今の共和党は「総統原理(Führerprinzip)」——つまりトランプの命令が法律や民主的規範より上——を臆面もなく採用している。
Voteviewのデータを見ると、ウォーターゲート時代の議会には共和・民主双方が重なる「政治的中間」が存在し、そこがニクソンを追い落とした。今は両党の間に広大な溝が開き、最も穏健な共和党員と最も穏健な民主党員のあいだにすらオーバーラップがゼロ。そのバイパーティザンな中間層がもはや消滅している。
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見た目には「民主党が左に動いた」ように見えるが、実態は光学的錯覚。起きたのは南部の保守的民主党員(ディキシークラット)が共和党に移籍しただけで、北部民主党の思想的位置は1950年代からほとんど動いていない。実際に激しく右へ突っ走ったのは共和党の方。
結果として非対称な二極化が生じた。民主党はヨーロッパの中道左派政党に近い。だが共和党はヨーロッパの中道右派ではなく、ドイツのAfDやハンガリーのフィデスのような権威主義的な極右政党と同じ匂いがする。
こうした共和党の変質はトランプ登場より前から進んでいた。トランプ個人が最悪なのは間違いない。だが、アメリカ民主主義の劣化の元凶はトランプの個人的腐敗ではなく、共和党という党の性質そのものだ。
なぜそんな党が権力を握ったのかは複合的な問題で、所得格差、富裕層の影響力、取り残された地域、男性の雇用喪失、白人男性の特権剥奪感、ネットによる社会的孤立、人種主義の再燃など、様々な要因が絡んでいる。どれがどの程度責任があるかについて確信は持てない。
唯一確かなのは、アメリカ民主主義への脅威はトランプ個人をはるかに超えたものだということ。トランプが去っても、この問題は終わらない。
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