性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律
2003年に成立した「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」(以下「特例法」とする)である。 特例法3条1項は、2名以上の医師により性同一性障害の診断を受けた者が、以下の1号から5号までのすべての要件を充たした場合に、戸籍上の性別を自認する性別に変更することを認めている。
1 18歳以上であること。
2 現に婚姻をしていないこと。
3 現に未成年の子がいないこと。
4 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。
5 その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。
4は手術がハイリスクなので、性別変更を諦めるか手術するかの過酷な二択になるという見解(最高裁)
医学的には政治同一性障害の治療に手術は必須ではない
4号は親子関係の混乱を防ぐためにあるが、法律で対処可能。また現在でも女である父や男である母が存在するが問題が生じていないため、制約の必要性は立法当時考えられていた時より低いと推定できる
憲法13条は身体への侵襲を受けない自由も認めていると解釈 5号の外見要件も違憲と考える裁判官(少数派)
5号の趣旨は、銭湯で見える問題に対応すること
しかし、男湯・女湯は実際には戸籍ではなく体つきで区別している。また性同一性障害者が迷惑が判りつつ銭湯に行くとは考えない。もしそれが問題になるとしても、また外見の区別で銭湯に入るというルールを作ればいい。
5号があることで規制される人はとても少ない
性同一性障害者は少ない
手術をしない人はもっと少ない
さらにそのうち銭湯で性器を他人に見せて迷惑をかけようとする人はさらに少なくなる
外見の区別で規制するルールを作ることも可能であり、それで困る人はいない
一方5号を廃止することで過酷な二者択一を解消できる
よって、5号の外見要件がない社会の方が善い社会である
性別適合手術要件は
ドイツ連邦憲法裁判所は違憲とした
ヨーロッパ人権裁判所は人権条約違反とした
2023年10月25日、最高裁判所は、4号要件について、憲法13条に違反し無効であると判断した。5号要件は、原裁判所である広島高裁が判断していなかったため差し戻されたが、5号要件も違憲無効判決が出る見込みである