川上浩司
富士山の頂上に登るのは大変だろうと,富士山の頂上までエレベーターを作ったら,どうでしょう.よけいなお世話というより,山登りの本来の意味がなくなります.
でも手軽に登りたい人はそっちを使えばいいんじゃないの?
山登りをしたい人はエレベーターを使わなければいい
もしそれで不満を感じるなら、「エレベーターがないところに山登りしている」ということに価値を感じているということ
人間ができないことを機械がやってのけるシーンはいくらでもある
ベンチプレス300kgは常人には上げられないが、重機なら軽々あげる
100m10秒切るのは難しいが、バイクなら楽勝
将棋も囲碁も人間よりコンピュータの方が強いが、だからと言って衰退していない(ように見える)
ヒットを打てるように練習するのは大変だろうと,だれでも必ずヒットの打てるバットを作ったら,どうでしょう.これも同じですね.
私が子供の頃,遠足のおやつは300円以内でした.もし,自由に好きなだけおやつを持ってきても良かったとしたら,どうでしょう?遠足前日に半日をつぶしてスーパーをうろつき,自分ならではの組み合わせを考え抜いたのは,今思えば楽しい思いでです.
就職氷河期に,就活超勝ち組の学生がいました.コツを聞いたところ,新聞を取るのを止めたのだそうです.勝手に配達+口座引落しという便利方式を止めて,毎朝コンビニに行ってキャッシュで新聞を買う.これがコツだとのこと.
不便で良かったことを私たちは「不便益」 と呼びます(ちなみに右上の写真,不便なナイフだからこそ鉛筆をドリル状に削れたりします).