定額給付金の効果
三村会頭は「前回の給付金は一律に13兆円。しかも、その大部分が貯蓄に回った。同じようなことをやるのは非常にまずい」と述べました。
この認識の根拠になる分析レポートどれ?
定額給付金の給付の消費誘発効果について、みずほ銀行の280万口座のパネルデータを使った分析。給付の週に消費が急増し、その後1か月以上増加を維持。6週間の限界消費性向は0.49。銀行口座金額、総資産、月収の四分位別分析もあり、給付金効果分析の決定版と言えそう 2009年 10万円 0.1-0.25
経済学者たちはどう思っているのか?
現金 10 万円の支給は、長く経済学を勉強しているベテラン層には不評だろう。日本政府がこれほど債務を増やしているのに、見かけ上は減税をしても、それは 1 人当たりが返済しなくてはいけない債務残高と比べて決して喜べるものではない。朝三暮四のそしりを大先生方からは受けるかもしれない。
筆者は、そうした厳格な経済学者に比べると、生活保障のためにある程度は支給もよいと思うが、 他の経済対策と併せて、ここまで財源のことを視野に入れないと不安になる。冷静に考えたときの将来不安はある。確かに、現在の「空気」は、財源の制約を考えずに、まずは経済に止血をして元通り にすることが優先されていて、大盤振る舞いを批判しにくい。しかし、出口を考えない経済政策が 後々の政策担当者を困らせることは、過去 30 年間の日本の歴史が示す通りである。
今回、麻生財務大臣(注:麻生太郎)は、2009 年当時に自分が首相だったときのことを思い出して、「つくづく失敗 だった」と述べている。それ以前にも、預金に積み上がるだけで「二度と同じ失敗はしたくない」と 述べていた。麻生大臣は、空気をあえて読まずに勇気をもって反論する。これはほかの人にはできな いことに思える。 筆者も、こうしたことを繰り返さないためにも、国民 1 人 1 人に支給された現金 10 万円が本当に使われたのかどうかを政府が調査費を出して、つぶさに検証することが必要だと思う。 今回実施するにしても、単にこれを先例にするのではなく、反省材料として後世につなぎたいもの だ。
この結果が上