外国人労働者
アベノミクスの異次元金融緩和によって、実質金利が相当程度低下し、円安、株高をもたらし、同時に実質金利低下が継続して、人やモノへの投資も徐々に増加している。特に雇用環境の改善は顕著だ。
民主党政権では減少傾向だった就業者数は、安倍政権で反転・増加傾向に転じて6300万人から6600万人へと300万人程度も増えている。失業率もほぼ下限近辺ともいえる2.5%程度まで低下している。
このため、名目賃金は上昇傾向だ。実質賃金についても、当初は名目賃金の上昇が物価より遅れるために低下したが、最近では底を打ち反転・上昇傾向に転じている。 賃金の動向を見る限り、まだ本格的な人手不足とはほど遠いのではないか。
どう読むとこの結論になる?
政府の方針は、産業界から意向だけで話を進めているようだが、産業界の言う人手不足は、賃金を高くしないでほしいという願望でしかない。
賃金の上昇をさせないように、もし政府方針とおりに外国人労働者を受けれたら、アベノミクスの成果である雇用の創出や一部での賃金上昇を台無しにするだろう。
外国人労働者が浸透してくると賃金が上がりにくくなるというグラフ
筆者は、マクロ経済の視点で考えれば人手不足はいいことであり、この際、企業がため込んだ内部留保を吐き出す番だと考えている。最近では、企業収益が好調で労働分配率は低い。ここ5年間で労働分配率は5%程度も低下しているので、今度は労働者が取り戻す番だ。 この観点から見れば、基本的には外国人労働者を新たに受け入れずに、今まで受け入れてきた留学生アルバイトと技能実習生にきちんとした在留資格を与えて、その後は、きっちり管理するというスタンスが望ましい。
例えば、先進国の就学ビザでは原則労働禁止だが、日本では1週28時間以内は可能など、抜け穴の度が過ぎる。先進国のビザは、就労条件について厳格に定められており、その点、日本のビザでは曖昧であることが問題だ。
日本人の雇用が失われないようにしなければいけない
労働者でありながら、労働基準法を事実上、適用していない技能実習生の存在は理解しにくい。
健康保険が簡単に取れてしまうのが問題であるとしている
日本と同様の皆保険のイギリスでは、6ヵ月以上の長期滞在者へのビザ発行の際、一定の医療保険料を支払うシステムになっている。
皆保険のオーストラリアは、オーストラリアへ相互健康保険国(英国、オランダ、スウェーデン、ノルウェー、イタリア、ベルギー、アイルランドなど)からの訪問者のほか、永住権を保持している人がメディケアの対象となっている。
しばしば社会保障の優等生といわれるスウェーデンも皆保険だが、滞在が1年以上で住民登録すれば医療保険制度への加入が可能だが、1年未満では加入できない。