売上原価
当期の製造原価と売上原価は次のように算出される。
1式より、製造原価は当期に完成した製品に対応する原価であること、2式より、売上原価は当期の売上(売り上げた製品)に対応する原価であることがわかる。費用収益対応の原則に即した費用が計上されることになる。
同じく2式より、当期製造原価を抑えつつ期末製品棚卸高を増やせば、当期売上原価が低くなること、すなわち利益が増えることも分かる。
期末に製品の完成を急げば、利益が増えるという一種の経理操作が可能
ソフトウェアの場合
最初のステップである費目別計算では、発生した製造原価を、大きく材料費、労務費、経費の3つに区分することになる。また、その費用が、各プロジェクトまたは製品に直接紐付けられるものなのか、そうではなくて複数のプロジェクトにまたがって発生するものなのかで、直接費と間接費に区分する。これらの組み合わせにより製造原価は、直接材料費・直接労務費・直接経費・間接材料費・間接労務費・間接経費――の6つに分類されることになるが、間接材料費・間接労務費・間接経費はまとめて製造間接費として取り扱われる。
ここで、ソフトウェアを開発する場合に重要な費目としては、社内の開発者の人件費である労務費の計算であろう。よって、費目別計算のうち今回は労務費に絞って、実務上のポイントをまとめる。
労務費の金額については、「労務費単価×作業時間」で算出されるため、原価計算を正確に実施しプロジェクト管理を進めていくためには、労務費単価の設定と作業時間の区分が重要になる。