写真が絵画に与えた影響
写真が19世紀に発明され普及し始めた頃と時を同じくして、絵画は印象派をひとつの起点として、それまでの伝統的な表現から大きな変革を繰り返し、そのモチベーションには写真の存在が少なからずありました。
他方写真は19世紀半ばの誕生の頃より、美術作品として、記録的な目的ではない絵画的な表現が模索され、その意識はその後も現代に至るまで綿々と続いています
本稿は、1839年に最初の写真が発表され、まだ10年程度しか経過していない時期に発行されたこの写真専門誌『ラ・リュミエール』を中心に読み解き、まだ写真という概念が今日のように定まっていな かった写真の黎明期に、その技術の定義すら不明瞭な写真の芸術性に関する議論がいかに展開されていたかを考察するものである。
写真を表現にしようという工夫