ロックダウン
Pereda-Loth, V., Pineda, A.M., Tisseyre, L. et al. The autumnal lockdown was not the main initiator of the decrease in SARS-CoV-2 circulation in France. Commun Med 1, 7 (2021). https://doi.org/10.1038/s43856-021-00002-6 Pereda-Lothたちは、フランスにおける2020年秋の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の動態を調べた。ウイルス抑制の最初の引き金になったのは、政府が実施した「非常事態」と外出禁止令の対策で、その後のより厳しい制限のロックダウンではなかったことが分かった。
2020年春、政府は新型コロナウイルスの感染拡大を食い止める目的で、全国の小中高校を一斉休校とするよう市区町村に要請を出した。休校は、子どもたちに学習不足や運動不足などの悪影響を及ぼしただけでなく、親が休職を余儀なくされた家庭では、経済状況にも影響が及んだ。福元健太郎・学習院大学法学部教授は、自身の子どもの休校体験から「多くの犠牲をもたらした休校に、感染拡大の抑制効果はあったのか」と疑問に思い、公的なデータを用いて「休校にした自治体」と「開校にした自治体」の新規感染者数を比べ、「休校による感染抑止効果は認められない」との結果を得た。
手法
福元氏: 2020年4月6日を例に説明しましょう。4月6日に開校していたのは、全国で483市区町村でした。これらの各市区町村について、「直近1週間の住民10万人当たりの新規感染者数」がほぼ同じで、他の要因の数値もなるべく似ていて、かつ、休校だった市区町村を探し出し、ペアにしました。これら483ペアを対象に、「開校にしていた市区町村」と「休校にしていた市区町村」とに分けて、4月27日までの毎日、新規感染者数の平均値を求め、グラフに表しました(図2)。
両者の差について統計的に検定したところ、ほとんどの観測日で有意差は認められず、「休校による新規感染者の抑制効果はない」との結論に至りました。
ここでは個別の観測日ごとに有意差を出しているみたいだけど、time seriesでの有意差ってどう評価するんだろう?