ジョブ型雇用の問題点
COVID-19の影響で解雇が進む。これを期に優秀人材を引き止めて労働法の中でほかを解雇することを検討するのは企業から見れば合理的である 日本に事務所がある場合、日本の労働法に準拠する
4要件があってもトラブルにならないことも多い
入社時から社内ルールについて適切に説明していればトラブルに至るケースは限られ、従業員をそうそう解雇したからといって裁判にまでは至らないのです。いざ裁判となれば長い期間が必要となりますし、会社を訴えること自体が本人の再就職を難しくしてしまいます。
徹底的に争ったところで割に合うケースは限られる
無理をして居残ったところで居心地は悪く、今後の昇給も期待できないし、本人のモチベーションも高めづらい、さらに雇用主を訴えるような人だと思われることが今後の再就職にプラスに働くこともありません
日本の労働法でも会社のリスク選好によってはジョブ型を実現可能
日本の雇用規制の下で欧米流のジョブ型雇用を運用している組織もあるのは、つまるところコンプライアンスに対する考え方に大きな違いがあるからです。
メンバーシップ型:安定性を重視する
長期雇用を前提に経歴にミソをつけることを嫌がる日本企業の人事は「裁判沙汰」を起こして自分の社内経歴に傷がつくこと自体を恐れて、会社の利益のためには取るべきリスクを取ろうとしない場合があります。
ジョブ型:会社の成長を大きくすることを重視する
ジョブ型雇用で採用されたHRや法務は、確率的に裁判で訴えられるリスクや、その場合の裁判費用・賠償責任と、解雇を行わないことによって会社全体で要する費用とを比較衡量し、企業として経済合理的な行動を取ることを躊躇う理由がありません。仮に裁判になったとしても会社の立場を主張して損害を最小限に抑えることが転職の際に経験として売りになることさえ考えられます。
企業側にも下準備が必要
入社時に従業員に対してどのような約束をして意識付けを行ってきたか、従業員のエンプロイアビリティー・市場価値を高めるためにどれだけの機会を与え投資を行ってきたか、社内でのキャリアについてどれだけ本人に選ばせて自分事として意識付けさせてきたかといった過去の蓄積が効いてくる話で、後から付け焼き刃的に職務定義書をつくったところで、これまでのやり方の延長線上で人事が人を組織に填め込もうとしているうちは、そうそう組織文化は変わらないし、安直に解雇しようとしたところでトラブルに発展することは容易に想像できます
メンバーが「明示された職務内容以外は担当しなくともよい」という意識になりやすく、ゼネラリスト育成を前提とする旧来のマネジメント手法との相性が悪い。
JDの範囲を超えた業務を依頼しにくく、臨機応変な担当業務変更や異動などに対応しにくい
異動や昇進などで担当業務範囲が拡大する場合、それに合わせたJDの変更と、業務範囲が広がった分の昇給もセットにすべき場合もあるので制度設計の煩雑性が増す。
ある年齢以上の読者は、1990年代に流行した「成果主義」を想起するかもしれない。しかし当時の成果主義は、日本企業に根付かなかった。それは、ジョブ型における「職務を明確に規定した上での成果給」とは異なり、メンバーシップ型雇用をベースにした名ばかりのものであったからだ。 当時の日本企業には個別の職務定義などなく、成果は上司と相談の上で決まる、という至極恣意的なものであった
結果的に自己申告によって達成可能な低い目標設定が乱発されたり
人件費抑制というゴールありきの意図的な成果評価が行われたりした
これはJD式でも起こり得そうだが何が根本的に違うの?基素.icon
労働法改正をしない方法を提案している
採用段階から明確に「成果追求型幹部候補職」と「ワークライフバランス重視型無期雇用職」といった形に分け、
前者は個別に裁量労働で契約を結んで働いてもらい、業績連動で高い報酬を得られるようにし、とにかく成果を追求。
後者は勤務地も労働時間も報酬水準も厳格に枠を設け、残業皆無で休みも取得できるが、給料は上がらないし、マネジメントやクリエイティブな仕事は一切振られない、といった形だ。