コアなファンを大切にしよう
茂呂氏は、講演内容を一通り話した小島氏に対し「ソーシャルでどういったブランド価値を作れると思うか?」と問いかけた。これについて小島氏は自身の考えを次のようにまとめた。
「ひとつは、人が日常的に触れる情報量が膨大になっている中で、企業の情報に触れて、それを他の人に広めてくれるぐらいのコミットメントを持ってもらえるようなものをブランドとして生み出せているかどうかは非常に大事な視点だと考えています」(小島氏)
「ブランドの立ち位置としては、色々な商品が出尽くしている今、僕たちが憧れる商品ってそんなにはないし、憧れを作るのはすごく難しい」
「『共感』が僕ら世代の生活者に対するアプローチの手法として重要だと思います。僕らが出したものに対して笑ってくれたり、いいと思ってくれたり、パスしてもらえたりするような共感を作っていくのが良いのではと思います。プロダクトの中でなくても『こんなおもしろい、尖ったことするってすごい!』という心理的な面での憧れがブランドの価値になると思います」(小島氏) 正直なところ、ヒットは狙ってません。ヒットってファンが喜ぶことではないんですよ。 昨今はたとえいい曲ができても、ファンしか買わない、ファンしか聴かない、ファンしか評価してくれない時代です。その枠を越えて、ファン以外にも届くのがヒット。
つまりヒットを意図的につくろうとしたら、ファン以外に目を向けなければなりません。
投げ銭に否定的
投げ銭のシステムって、お金を多く払った人がなんらかの形で優遇されますよね。それを僕らがやってしまうと、8割ぐらいのファンが少しモヤっとしてしまうと思うんです。 喜ぶのは「お金をたくさん使う」と決めている2割くらいの豊かな人だけ。
「CDは利率が低いから、買ってくれるのは1枚でいい。もしアーティストを支えたいという気持ちを持ってくれているなら、余分なCDの代わりに利率の高いグッズを買ってください」
タイアップ広告の話
大事にしている基準は、ファン目線です。この連携をしたら、作品にとって広がりが出るかとか、ファンの方の喜ぶ姿が見られるのかとか、そういうことを重視しています。商売は二の次です。
結局、ファンの方を中心に考えることが回り回って商売につながると思います。神村も私も、轟木もこの意識が共通しているからブレがないのです。
──カラーという会社でもその発想が根付いています。自らが一気通貫型で全て管理するからこそもうかるビジネスモデルを築かれました。
単純にそれが一番作品にとっていいのですよ。製作だけでなく、宣伝や版権管理まで行うことで、ファンサービスまで自由にできる。ファンとの関係まできちんとコントロールできることが大事なのです。
渡邉:秋山さんもおっしゃっていましたけど、ファンを作るというか、コアな人たちに使ってもらうこととか、そこはすごく大事だなと思っています。
それをひと言でいうと、「継続率」だと思うんですね。結局、初めのプロダクトって、ユーザーさんの声を聞こうと思って「これどう?」みたいなことを聞いても、みんな使ってくれるし、いいことを言ってくれると思うんですよね。
大事なのは、自分が見てない、目を離している間もちゃんと使ってくれるかとか、継続して使って、そのあとにちゃんとお金を払ってくれるかというマネタイズまで見えてるとベストだと思うんですが、一番は継続するかどうかというところです。