「長期投資なら、必ず儲かるはずだ」という宗教
「あなたの投資理論とやらが本当に役に立つのかどうか、1年間運用してみた結果で、あなたのファンドが勝つか、私の相場観で運用するファンドが勝つか、その勝負で決めようじゃないか」
筆者は、たかだか一年の運用結果は「運」による上下の影響を強く受けるので、この「勝負」には気乗りしなかったのだが、次のように言うしかなかった。
「運用には結果が付きものだから、較べるのは勝手です。好きにして下さい。でも、条件やリスクの大きさのちがうファンドの運用をリターンだけで較べるのは正確でないし、運に大きく左右される一年の結果で方法の優劣に関する結論を出そうとするのは不適切だということは、分かっておいて下さいね」
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かつてのやり取りを今振り返ると、「1年」なら運の要素が大きいが、「数年以上」の計測期間があれば、運用の実力が十分反映されるというような、「運用力」の存在に対する素朴な信頼がある点を「甘いな!」と思うのだが、まだファンドマネージャーの仕事に夢を感じていた頃のことだ。