Netflixのアニメビジネス
ネットフリックスが一定期間、配信権を取得。この配信権に関連して、さまざまな条件が設定される。条件は例えば、次のようなものがある。
一定期間、ネットフリックス以外で作品を見ることができない
劇場映画として公開後、半年後にネットフリックスで独占的に配信
劇場公開と同時にネットフリックスで独占的に配信
契約の形態にもよるが、制作会社はネットフリックスとじかに契約するため、契約金を元手に作品をつくり、完成した作品の権利は制作会社側に残る。一方で、ネットフリックス側は、作品の権利は保有せず、配信以外のビジネスには関与しないため、限られた人数で運営が可能だ。
――オリジナルアニメにはアニメファンから大きな期待が寄せられています。なかでも一般的なアニメの製作費が2億円前後といわれるなか、Netflixオリジナルアニメでは数倍から数十倍の製作費がかけられているという話があり、アニメ関係者からも注目が集まっています。 中島さん:通常アニメの10倍の製作費を掛けている――といったお話があるのは把握していますし、アニメ作品に高額の予算を割いているのは事実です。ただ、全ての作品に高額の予算を掛けているかといわれればそうではありません。再生回数や安定した視聴時間が見込める作品に対して大きな予算を割くことはありますが、ニッチな作品にはそれなりの予算をということとなります。このあたりは企画発案のタイミングから、ファイナンスチームがシビアに費用対効果を計算しています。
この計算は作品視聴データを使ってると思う基素.icon
――高額の予算をかける作品にはどういったものがあるのでしょうか。
中島さん:例えば4K/HDRのアニメ作品を作る、となれば必然的に予算は通常作品よりも多く必要になります。現在Netflixで取り扱っている作品の主流は2Kですが、今視聴しても、10年後に視聴しても劣化していないことが大前提です。これからは4K/HDRを水準にしていきたいと考えています...
制作会社との契約スタイルはNetflixと制作会社とが、ライセンス契約を結ぶ
――...お金を出すということは、作品の内容についても口を出すということでしょうか。
中島さん:社として「クリエイティヴ・フリーダム」という言葉をスローガンにしていることもあるのですが、基本的には余り口を出さないようにしています。もっと作品を良くするために、と意見を言うことはありますが、あくまでもディスカッションのような感じです。「自分たちが決定権を握っているんだ」というようなポーズを取ることはありません。...
――...Netflixならではの要望のようなものはあるのでしょうか。
中島さん:Netflixは世界190カ国に配信するサービスなので、作家性・メッセージ性が分かりやすいと多くの国・地域の方に作品の魅力を感じていただけるということはあります。ただこの部分を意識しすぎると、結局内容が薄まってしまいますので、日本でのオリジナルアニメの場合には「作家性を尊重しつつ、日本のお客さまに喜んでいただける、ハイクオリティーな作品」を第一に目指したいとお伝えしています。
配信は13話一気なので配信スケジュールは納品が終わってから一般発表
アニメの買付担当は6人
――ハフィントンポストが行ったポリゴン・ピクチュアズCEOの塩田周三さんのインタビューでは、Netflixは「買い付け担当者」個人の権限が大きいというお話もありました。
中島さん:会社のカルチャーとして、「フリーダム&レスポンシビリティ」というスローガンを掲げているので、それは事実です。誰の決裁もいらないし、自分で全てを決めていいというものですね。会社はプロとして私達を雇用しているので、自分で判断できない人間は逆にいらない...全て独断で決済するということはなく、情報を共有し合って、何が一番ベストなのかをディスカッションして決定することが多いです。