2026-04-09
雇用数は月次ベースでうるさいノイズだらけなので、6ヶ月移動平均で見ろ。そうすると2024年以降、雇用増加は急激に鈍化し、最近はほぼゼロ。トランプ政権が「景気は絶好調」と言い続けてるのは、雇用データを正面から見ていないか、見てて嘘をついてるかのどっちかだ。
「悪いニュース」はそれ。で「良いニュース」は何かというと、雇用が増えていないのに失業率も大して上がっていないこと。働き盛り世代の就業率は歴史的に高い水準を維持している。
なぜ雇用ゼロ成長なのに失業率が上がらないのか?「均衡雇用増加数(失業率を維持するのに毎月必要な求人数)」が急落したから。要するに、新たな労働者がそもそも入ってきていないのだ。
原因は移民弾圧に決まっている。ネイティブ生まれのアメリカ人の労働年齢人口はベビーブーマーの高齢化でずっと減っており、労働力増加はほぼ全面的に移民頼みだった。ところがICEによる取り締まり強化で、不法移民はもちろん合法移民まで怖くて逃げ出している。純移民数はマイナスに転じた可能性すらある。
「良いニュースの中の悪いニュース」:雇用も増えないが労働者も増えない、というバランスが均衡しているだけ。移民弾圧派が「移民を追い出せばネイティブの仕事が増える」と言っていたのは完全に外れた。実際、ネイティブ生まれの失業率はトランプ政権下でむしろ上がっている(劇的ではないが)。
さらに財政的にもまずい。将来の税収は経済成長に依存する。トランプ政権の予算案は年率3%成長を前提にしているが、FRBは2%、議会予算局(CBO)は1.8%と見ている。労働力がゼロ成長なら成長は全部生産性向上に頼るしかなく、年率3%の持続的生産性成長などアメリカ史上一度も達成したことがない。戦後ブームも、ITバブルのピークでさえも。
AIが奇跡的な生産性革命をもたらせば話は別だが、それを当てにした財政計画はギャンブルだ。
軍事的覇権の観点からも問題。トランプもヘグセスも「永続的な米軍支配」を夢見ているが、労働力がゼロ成長の国でそれが維持できると本気で思っているのか?
結論:雇用増加は事実上止まった(悪いニュース)→失業率は上がっていない(良いニュース)→でもそれは移民流入が崩壊したせいで、長期的には経済成長と国際的地位にとって非常に有害(良いニュースの中の本当に悪いニュース)。「MAGA」って、まだ?