日本経済に対する経済学者間の共通認識
調査では財政赤字への認識(財政赤字は問題か否か)、これまでの財政政策への評価、社会保障の基幹財源と位置付けられてきた消費税への評価とその税率への今後の見通し、日本経済の今後の成長可能性及び成長と分配のいずれを重視するべきか、その経済の現状を踏まえたときに必要な政策の優先順位などに係る設問を設定した。
その結果は次のようにまとめられる。
第一に経済学者は財政赤字を問題視しており、財政赤字を放置した場合、増税・歳出カットなど厳しい財政再建に迫られると予見している。他方、脱デフレに向けた積極的財政政策については効果が乏しかったとの否定的な見方が多かった。 第二に、現在の積極的財政政策よりも財政再建や企業の生産性向上に資する政策を志向している。 第三に、優先度の高い政策としては「規制改革」を挙げる。 企業の生産性向上に努めるべきという回答と合わせると財政出動より構造改革を支持していることが伺える。 第四に、日本経済について将来的な成長可能性には悲観的
一方、「成長と分配(格差の是正)のどちらを重視するべきか」という問いには成長を重んじる、あるいは成長と分配のバランスを挙げる回答が多かった。
高い成長は難しくても成長戦略自体は放棄すべきではないという見方ではないだろうか。
最後に消費税に対しては逆進性よりも安定財源であり、経済活動に及ぼす歪みが少ないという意味で効率的との評価が多数を占めた。
他方、今後の消費税率の見通しについては 15%程度までの引き上げを挙げる回答者が最も多かった一方、現状維持を志向する回答者も少なくなかった。
関連して、国民負担と歳出改革との関係に係る設問では「歳出を抑えて負担回避」が最大多数を占め、現在の財政赤字を踏まえて、「歳出を抑えて負担増」が続く。「歳出は現状維持で負担増」の回答は三番目だった。財政の健全化・持続性の確保に際しては歳出の適正化を優先する向きが強いことが伺える。
基素.icon
緩和路線ではなく負担回避