華厳なるもののパラダイム
華厳なるもののパラダイム
4世紀頃、大乗仏教の一派として西域で成立した華厳経は、 世界の認識のあり方(法界)を四段階に分ける。
一般的な人間の世界である「事法界」
その背後にある原理 (空) を捉えた「理法界」
原理と事象が自在に結びつく 「理事無礙法界」
悟りが、事象と事象の直接的な関係からなる「事事無礙法界」
「理法界」や、その発展である「理事無礙法界」は、
現象の根拠に特定の原理を想定する点において、近代西洋形而上学的な構造を持つ。
ソシュール言語学におけるシニフィアン・シニフィエの一対の関係に近いとも言えるだろう。
対して、絶対的な悟りとされる「事事無礙法界」は、
一つのシニフィアンに対して、複数のシニフィエが内包された構造を考える。
一つの事象には世界の事象のすべてが織り込まれ、
我々に見えるのはその顕現の一つに過ぎない。