脳の大統一理論
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乾 敏郎,阪口 豊. 脳の大統一理論
自由エネルギーを小さくするには、第1項のダイバージェンスだけでなく、第2項のサプライズを小さくするという手もある。サプライズを小さくするためには感覚信号sを変化させなくてはならない。そのままでは感覚信号は変化しないので、感覚信号を変化させるためには自分が動く必要がある。このことから、「どのように運動すれば自由エネルギーを最小化できるか」という新しい問いが生まれる。 言い換えれば、自由エネルギー原理は、感覚信号から知覚をもたらす過程を説明するだけでなく、運動を生成する過程を説明する理論としても機能するのである。
具体的には、予測された感覚信号を再度観察することにより、
生起確率の高い感覚信号が観察されるので、サプライズが低下する。
世界から受け取る信号を自分が予測する信号に適合するように自分の身体を動かすことを、
フリストンは「能動的推論」と呼んだ。これは、予測する信号を確認する機能であるともいえる。 これができるのは、知覚過程において既に感覚信号の隠れ状態を推論しているからである。〜
知覚の処理過程では、
頭の中で隠れ状態の推定内容(信念)を更新することで予測誤差を最小化することを述べてきた。
これは、感覚信号は一定として、
信念やそこから生成される予測信号を変化させることで予測誤差を小さくする方法であった。
一方、予測誤差を小さくするためには、
信念および信念から生成された予測信号は一定に保ちながら、感覚信号の方を変化させるという方法も考えられる。
つまり、自分の予測と合致するような感覚信号を得る、という方法である。
予測誤差は予測信号と感覚信号の差であるから、誤差を小さくするには予測信号(正確にはその源である信念)を変化させてもよいし、感覚信号を変化させてもよいわけである。〜
ゼロ値(30℃付近)を目指す負のフィードバック。
観察による洞察と理解のプロセス
人間はどのように理解や洞察を行うのか?
その生成モデルが正しいことを示す証拠をかき集めようとするのである。
ある哲学者はこのことを「自己証明する脳」と呼んでいる。
>•自由エネルギー原理では、このような理解のプロセスは二段階で実現されていると考える。
具体的には、第一段階で現象を説明できる生成モデルを学習する。
そして第二段階で、得られた生成モデルをできるだけ単純な形にすることを試みる。
これは科学と同じ。脳は経験主義