✅メディア心理学
インターネット社会では得られる情報物と自分の関心や立場に合致したものになりやすい(選択的接触)
ネット上のニュースの推薦情報を公開する仕組みはジャーナリズムの本質とは異なる
オンライン接触はひ公共的ニュースの再認識が多いので利用者側のコントロールが増大する傾向にあるそうしたニュースはしばしばネット掲示板やブログでネタとして扱われ増幅されていく
一般にパソコンユーザが情報を比較検討しようとするのに対し携帯検索は短ワードで衝動的に1つの答えを求める傾向にある
限定効果論 現在は見直し
20世紀初頭から30年代まではマスメディアのメッセージが
人々の行動や態度を意のままに動かす巨大な力を有すると考えられていた。
40年のアメリカ大統領選挙有権者調査をきっかけにマスメディアの力それほど強くは無いとする論が研究者の間で支配的になっていく。
具体的概論
コミニケーションの2段階の流れ
コミュニケーション過程におけるオピニオンリーダーの影響力や、
社会関係の重要性の指摘
選択的接触
人々は自分の知識や態度等の先有傾向と調和しない情報との接触を回避する傾向がある。
✅議題設定理論
概要
メディアの議題設定に関する理論
マスメディアである争点トピックが強調されればされるほどその争点やトピックに対する人々の重要性認識が高まる。
つまりどう考えるかではなく何について考えるかと言う点で
メディアの影響力と争点全体の顕出性を扱う
議題設定研究
主要な争点に対するマスメディアの強調を独立変数
各争点の重要性に関する人々の認識を従属変数とする
従属変数となる公衆議題の測定
①個人内議題 intrapersonal agenda
個々人が何を重要な争点と して認識するか。
②対人議題 interpersonal agend
どの争点が日常会話の中で話題となることが多いか。
③世間議題 perceived public agenda
世間一般の人々の重要性認知の推測を反映
●メディアの議題設定効果をどの水準でとらえるか?
①認知モデル (awareness model)
マスメディアが特定の争点を取り上げるか否かによって,
その争点の存在を人々が認識するかどうかが決まる、という形で効果を想定
②顕出性モデル (salience model)
顕出性モデル、マスメディアで特に強調された少数の争点のみが
閾値を超えて受け手にとって重要な争点として認識されるという効果,
③優先順位モデル (priority model)
優先順位モデルでは,さまざまな争点に関するメディア側の優先順位が,
そのまま受け手側が認識する優先順位に転移することを想定している。
認知モデルでは報道された争点がすべて認知されるのに対して、「顕出 性モデル」では報道量が閾値を超えてはじめて認知されることを想定してい る。一方「優先順位モデル」では,各争点の報道量の順位が、受け手側の重 要性の認識の順位に反映されるという対応関係を想定している。
●独立変数となるメディア議題
メディアによる議題設定機能の違いが指摘されている。
新聞とテレビの比較が 試みられているが,
どちらの議題設定力が強いかという点に関して結論は示されていない。
①新聞
新聞は比較的長い時間をかけて公衆議題の骨格を作り,
さまざまな争点の優先順位の認知に影響を及ぼすのに対して, は、効果のタイムスパンが異なり、新聞は個人内議題,に対して強い影響力を発揮する
②テレビ
議題設定力の方が即時的であり,
いくつかの争点の顕出化に影響する,
テレビは対人議題に対して強い影響力を発揮する
✅人々はどのように考えるか? (how to think about it)
従来の議題設定の研究課題から、特定の争点について
どのように考えるかという方向へと適用領域を拡張する。
「特定の争点のいかなる側面を重視するか」という視点からの分析は,
後述するフレーミング (枠づけ) の概念ときわめて類似性が高い。
実際の研究では属性型の議題設定をフレー ミングとほぼ同一視し,
フレーミングは議題設定研究のパラダイムに包摂可能としている。
✅フレーミング研究framing)
フレーミング研究は,
メディアが争点や出来事をどんな枠組みで報じるか
それが人々の現実認識とどのように関連しているかを追究するものである。
報道の枠組み(メディア・フレーム) が
認識の枠組 (オーディエンスフレーム) を設定し,
それが当該の争点や出来事に対する
人々の認識や態度を規定するというプロセスが想定されている。
メデ ィア・フレームの影響を検討する際には、
オーディエンス・フレームをバイパスして、
直接に後続のフレーミング効果を測定することが多い。
当該の問題に対する受け手の定義や理解の仕方を検証することなく、その問題に対する態度や評価だけを従属変数として測定することが多い。
(Tversky & Kahneman, 1981)
伝染病への対策に関する意思決定課題で
「どれだけの人が助かるか」という利得の強調は
リスク忌避的選択を促すのに対して,
「どれだけの人が死亡するか」 という損失の強調はリスク志向的選択傾向を強める,
同じ状況でも表現の仕方によって異なる判断枠組みが作動する可能性を示す
メディア・フレームよりもオーディエンス・フレー ムの解明に寄与するものとして位置づけられる。
標準化されたカテゴリーが確立しているわけではなく,目的に応じ多様なフレームセットが採用される。
(Nelson & Willey, 2001)。
争点フレーム (issue frames)
報道内容の分析に基づいて, 事後的に争点フレームを抽出する場合には,対象に応じて異なる汎用性の乏しいフレームが設定されることが必然的に多くなる。
●多様な争点に共通したフレーム
政治,経済,防衛, 社会問題など
まだ何を標準的カテゴリーとするか定義なし。
(Neuman et al., 1992
「対立」「道徳性」 「経済」「無力感」
「人間への影響」
といった5つのフレームを設定しており,
このほかにも「コンフリクト」 「人間的興味」 「経済的結果」 「道徳性」「責任」
など多くの研究で 共通に用いられたフレームを整理して、汎用性の高いニュース・フレームを設 定しようとする動きもある
(Semetko & Valkenburg, 2000),
●フレーミング効果の影響例
報道対象に対する認識や評価が影響される
例えば、郵政民営化法案が否決を機に小泉首相が衆議院を解散して行われた総選挙では,
法案への反対者に対し
賛成派候補を擁立。「刺客」とよばれ,
「抵抗勢力」と「改革派」 の対立というフレームで報道され,自民党圧勝の一因となったとされている。
●汎用性の高いニュース・フレーム
(yengar, 1991) の二項対立型の図式が広く知られている。それは 報道の内容というよりも形式。多くの場合両方の要素が含まれる。
エピソード型フレーム (episodic frame)
個人や集団の具体的事例を示す
映像メディアはエピソード型に依拠する部分が大きく,
またそれにより社会問題の原因や責任が,
構造的要因よりも個人に帰属される傾向が強まることをが実験によって検証されている。
テーマ型 フレーム (thematic frame)
経済状況を表す統計的データや政府の雇用政策など,,一般的・抽象的な観点から問題を描写するのがテーマ型フレームの特徴とされる。
争点型フレーム (issue frame)
各候補者の政策の違いなどに焦点をあてる
戦略型フレーム (strategic frame)
アメリカの選挙報道では、戦争やゲームなどの言葉を用いて対立を強調することが多い
戦略型フレームの政治報道が政治家やメディアに対する不信感を 高め,政治的シニシズムを醸成することを一連の研究を通じて明らかにしてい る。
(Cappella & Jamieson, 1997)
培養理論
培養理論 (cultivation theo ry)
社会化の担い手としてのテレビの役割に注目した,ドラマやアニメなどのフィクションの世界の分析に基づいて
「テレビを長時間視聴している者は,
テレビの世界で繰り返される安定した描写のパターンを反映する形で現実の世界を認識する傾向がある」という基本仮説の検討。
現実の出来事を報じるニュースにしても、
ある種のゆがみや偏りが介入するが
それ以上にドラマやアニメなどのフィクション作品では,さ まざまな形で現実から遊離した世界を恒常的に提示している。
培養理論は,
①制度過程分析 institutional process analysis
マスメディアの内容の制作に影響するプロセス,圧力,制約は何かの解明を図る
② メッセージ・システム分析
メディア・ メッセージに表現されるイメージ, 事実、価値や教訓の支配的パターンを検討する
③「培養分析」(cultivation analysis)
これ らのメッセージが聴衆の抱く社会的現実の観念にどの程度影響しているか20年以上計測すると同時に, そうした結果に基づいて質問項目を設定して、
テレビの視聴時間の長い者ほどテレビ寄りの回答をするかどうかを不定期に調査しているのである。
●アメリカのデータ
テレビのフィクションの世界では,
* 主要な登場人物の半数以上が加害者あるいは被害者として暴力に関与。
* 暴力場面を含む番組は全体の8割前後で推移
* 犯罪全体の中で暴力犯罪の比率は1割程度だが、フィクション中での暴力犯罪の比率は7割
* 警官や刑事など犯罪を取り締まる職業に従事者の割合も現実の職業統計を大きく上まわる。
このようにテレビのフィクションの世界には現実以上に暴力や犯罪のシーンに満ちている。
テレビの長時間視聴者は,短時間視聴者に 比べて、
暴力的犯罪の比率や警官や刑事の数を多く見積もり、人々が事件に巻き込まれる可能性を過大評価する。
培養効果
このように、テレビと現実の乖離がたしかめられた事項に関して、テレビを よく見ている者ほどテレビ寄りの回答をすることが培養効果の根拠とされるわけだが,
信念や価値規範に関する効果の検証も行われている。
実際のテレビの視聴時間による違いは前者の現実認識に関して顕著に現れることが多い。
第1次培養効果 現実認識への影響
テレビの長時間視聴者の間では暴力犯罪に対する
不安感や対人不信感が醸成されやすい。
第2次培養効果 倫理や価値規範への影響
さらには当局による権力行使や強硬的抑圧策を容認するような態度が助長されやすい
主流形成効果(mainstreaming effect)
個人的属性が違えば、社会認識もまた変動することが予測される。
しかし短時間視聴者に比べて, テレビ情報への依存度が高い長時間視聴は個人的属性による変動が縮小し,
より画一的な社会認識が示される結果になる。
共鳴効果 (resonance effect)
視聴者の生活状況がテレビで描かれた状況に合致したときに,培養効果が強まるという共鳴効果が提唱されている。 ただし主流形成効果に比べると,条件は不明確
実証的裏づけも乏しい。
●培養効果の働き
「融合する」 (blending)。
モノの認識をテレビが形成する主流へ融合する
「曖昧にする」 (blurring),
視聴者の個人的属性による社会認識の差異を均質化
「従属させる」 (bending)機能を果たす。
テレビの主流が放送広告産業の商業的論理に基づく以上,視聴者の社会認識を産業の利害関心に従属させる。