線形系の特徴
1.1線形系の特徴
本書の題名には「非線形」という言葉が入っている。しかし、実は、著者は「非線形なんとか」と取り立てて言いたくはない。世の中のことほとんどが非線形なのだから、「非線形な世界」とは世界そのものなのだ。それでも「非線形な世界」と取り立てて言うとすれば、世界の何に特に注目するのか?まず、「非線形系」の意味を考えよう.そのために「線形系」ということばの意味を反省する。 「系」(system)という言葉は自然の一部であるが、多かれ少なかれあるまとまりを持ったものをさす(たとえば、ある電子回路。一匹の犬。地球太陽系、など)、システムという言葉は、語源的には,syn(ともに)とhistamai(立つ)という言葉からできているそうだが、「一緒に支えあって一つのまとまりをなしているもののまり」という意味である。
「まとまりをなす」ということの意味は、理想的には、(1)系に属している世界の部分とそうでない部分が判然と区別でき,(2)系に属しているものは互いに(系に固有の)相互作用をしていて(または関係を持っていて)系外との相互作用は別に取り扱うことができる、ということである?。
例題
ある系Sが与えられているとき、入力xに対するこの系の出力yが、ある写像を使って次のように書けるとする
$ y=Q(x).
たとえば、$ xはあるカ学系の初期状態、
$ yはその系の時刻$ t=1における状態である。
系Sが線形系(linear system)であるとは写像Qが線形ということである。
すなわち、$ x_1 x_2をかってな入力とするとき
$ Q(ax_1+βx_2)=aQ(x_1)+β Q (x_2) (1.1.2)
が成立する。ここでαとβは任意のスカラー定数である.
スカラー定数とは、大きさ(値)だけを持ち、方向や位置といった概念を含まない単一の数値 (1.1.2)を重ね合わせの原理(superposition principle)という。 重ね合わせの原理を満たす法則に支配される系が線形系である。
「重ね合わせの原理」とは?
「いくつかの影響が一緒に作用する時、それぞれの影響を足し合わせた結果が全体の影響になる」という考え方
重ね合わせの原理に必要な条件は次の通り
1. 基本の写像式:
code:tex
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y = Q(x) \tag{1.1.1}
2. 重ね合わせの原理を表す式:
code:tex
Q(\alpha x_1 + \beta x_2) = \alpha Q(x_1) + \beta Q(x_2) \tag{1.1.2}
code:tex
Q(\alpha x) = \alpha Q(x) \tag{1.1.3}
4. 加法性を表す式:
code:tex
code:tex
Q(x_1 +_2) = Q(x_1) + Q(x_2) \tag{1.1.4}
系が与えられると、それが線形かどうかはすでに系そのものの性質で決まっているかのような書き方をしてきた。
しかし、話はこんなに単純でない。
Miyabi.icon線形の系、非線形の系という区分けには観測上、観察において以上の意味はない
たとえば、量子力学の基礎方程式であるシュレーディンガー(E. Schrodinger1887-1961)方程式は線形の方程式だから、すべての孤立した系は線形の法則に支配されている。しかし、そうだからと言ってある孤立系のすべての性質が線形だというわけではない。何を測定するかによる。
孤立した箱の中で気液共存した水を考えてみよう。それはシュレーディンガー方程式に支配されている。しかし、その気液界面には非線形波動が見られるのだ?.また。上記の系5についてもっyでなく$ y_2を観測すれば話はまったく違う.
要するに、ある系が「本来」線形か否かを問題にすることは意味がない。
上に書いた「系Sが線形系であるとは写像2が線形であることであるる」というのは本当は正確でなく、「系5のある観測量yが線形な応答を示すとは写像が形であることである」と書くべき。
エアコンとヒーターのある部屋
どちらもつまみを回せばいくらでも温度が上がるとする
部屋も理想的なものを考える
重ね合わせの原理が成り立つ
スケールを変えると、滞留などの影響を考える必要があるので非線形