20190603 全国大学国語教育学会で発表してきた
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6月1日(土)・2日(日)と第136回全国大学国語教育学会茨城大会が茨城大学を会場に行われた。私は2日(日)の午後に自由研究発表があったので、参加し発表してきた。 午前中は課題研究発表が行われた。「国語科教育を問い直す③:教師・教育行政・研究者それぞれの立場から」と題して、特に「書くこと」の教育を巡って話題が提供され、議論された。学会では一昨年あたりに大規模な実態調査を行っている。その結果を踏まえ、3人がそれぞれの立場からの提言をした。教師の立場から話されたのは澤田英輔先生である。澤田先生と言えば、『イン・ザ・ミドル』の翻訳者の一人として、またライティング・ワークショップ、リーディング・ワークショップの実践者として今や有名になった。さらに今年度は、今まで勤めていた筑波大学附属駒場中学校・高等学校を退職し、軽井沢風越学園設立準備財団に異動して、風越学園という魅力的で注目すべき学校の設立に奮闘している。澤田先生の提言はご自身のあすこま!ブログ等で発信している内容をなぞったものだったが、ブログの愛読者である私にとっても、改めてその内容をおさらいできる良い機会だった。 教育行政の立場からは大滝一登氏、研究者の立場からは冨安慎吾氏が提言していた。無知をさらけ出すのだが、文科省の大滝氏の提言はまさに教育行政の立場からのもので、この方面についての私の理解の朝さを露呈するものとなった。島根大学の冨安氏の提言は「書くこと」の指導についての理論的な提言の面があり、なかなか興味深かった。 この課題研究発表では新潟大学の足立幸子先生と一緒に聞いていた。足立先生とは発表の前に様々に情報交換ができ、これまた嬉しいことだった。また、澤田先生(澤田さんと呼ぶのが普段通りなのだが)とは前夜に夕食を一緒にすることができ、これも嬉しい時だった。 午後は自由研究発表である。私は「読み聞かせ方法の違いが学生の読み聞かせ観に与える影響」と題して発表した。通常の読み聞かせ、考え聞かせ、対話読み聞かせを練習し実習した学生間で、読み聞かせに対する考え方が変化するかどうかを実験した研究である。 こうした学会発表の醍醐味は、発表が終わった後の質疑応答である。10分間という短い時間だったが、4人の方から質問を受け、その内容は大いに参考になった。ある方からは考え聞かせが他の方法とそもそも異質なものであることを指摘された。ある方からは読み聞かせを聞く子どもの脳の状況が穏やかになるが、考え聞かせによって読み手がどんな考えを言うのかを思うとその脳の状態が乱されるのではないかと言う指摘を受けた。ある方は2つの方法が科学絵本でも使えるかどうかを質問された。最後には私の研究計画において、学生同士の相互評価が今回の実験結果に影響した可能性を指摘された。それぞれにとても刺激的で、参考になるものだった。
最近、柔軟な頭の働きができなくなってきていることを自覚するのだが、学会発表はその意味で自分の脳の柔軟さに挑戦するような負荷のかかることである。しかし、この質疑応答の面白さはやめられない。優秀な方々からの様々な意見をもらうことで、自分の頭がリフレッシュされる。今回も非常に楽しい経験となった。