ゾンビスクラムサバイバルガイド
#読書メモ #スクラム
ゾンビスクラムサバイバルガイド: 健全なスクラムへの道
スクラムを上手く扱えていますか?世間で言われていような、あるいは想像していたようなメリットを享受することはできていますか? 実際には何ら恩恵をもたらさず、治したと思っても再び蘇る「ゾンビ」のようなスクラムとの戦いに辟易していませんか?
本書は、スクラムを上手く扱えていないと感じるすべての人のために書かれた、「上手くいっていない」状態から脱却することを主眼にまとめた実用書です。本の冒頭には「応急処置キット」がついているため、すべてを読んでいる暇はない人でも素早く行動を起こすことができます。応急処置を終えたら、ゾンビスクラムがなぜ起こっているかを根本的なレベルで理解し、改善に取りかかるための実践的なツールを身につけます。ユーモラスかつ非常にビジュアルな内容で、すべてのスクラムマスター、プロダクトオーナー、開発チームのメンバー、アジャイルコーチ、管理職にとって必携の書となるでしょう。
メモ(本書籍はスクラムガイド2017に基づいていることに注意)
ゾンビスクラム
https://www.zombiescrum.org/
ゾンビスクラム診断ツール:Scrum Team Survey
ゾンビスクラム診断チェックリスト
スプリントの終わりに検査する動くプロダクトがない
スプリントレトロスペクティブは退屈で同じことの繰り返しになりがち
スプリント中、チームメンバーはたいてい自分のアイテムに取り組むだけ
プロダクトオーナーは、プロダクトバックログの内容や順序について、ほとんど何も言うことができない
スプリントレビューにステークホルダーがめったに参加しない
スプリントが上手くいかなくても、チームの誰も悪いと思っていない
あなたの組織は「ビジネス」と「IT」を別物と考えている
スクラムチームに楽しさやワクワク感がない
デイリースクラムは、スクラムマスターが議長を務める進捗報告会にすぎない
最近のスプリントレトロスペクティブで最も重要な改善項目は、カフェテリアのコーヒーをよりよいものにすることだった
管理職は、スクラムチームがどれだけの作業ができるかにしか興味がない
応急処置キット
1. 責任を取る
2. 状況を把握する
3. 気づかせる
4. 他の生存者を探す
5. 小さく始める
6. 前向きでいる
7. 祝福する
8. 助けてくれる人を探す
ゾンビスクラムの症状
ステークホルダーのニーズを知らない
速く出荷しない
スプリントの最後に動くプロダクトがない
(継続的に)改善しない
障害を克服するための自己組織化をしない
裁量がない
上記4つは全てつながっている
スクラムの目的
スクラムフレームワークはアジャイルソフトウェア開発の一部
アジャイル:柔軟性、適応性、機敏性
スクラム(名詞):複雑で変化の激しい問題に対応するためのフレームワークであり、可能な限り価値の高いプロダクトを生産的かつ創造的に届けるためのもの
複雑な問題:本質的に不確実かつ予測不可能
経験主義
短いフィードバックループ
スクラムの3つの柱
透明性
検査
適応
スクラム:常に進化している、経験的に働くための最小限のルール
スクラムフレームワークは意図的に不完全になっている
スクラムガイドには詳細が書かれていない
「効率主義」はアジリティと正反対のことを達成するために設計されている
スクラムは効率的であることよりも効果的であることに重きを置いている
効率:たくさんの作業(アウトプット)
効果:作業の価値と有用性(アウトカム)
無意識的に効率主義に陥りやすい
一見単純に見える問題も実際は複雑であることがほとんど
ステークホルダーが求めるものを作る
ステークホルダー
プロダクトに利害がある人たち
ステークホルダーへの質問例
この新しい機能の使い方が理解できるのか?
解決しようとしている問題を、その機能は本当に解決しているのか?
この入力フィールドの説明は、意味が伝わるのか?
この変更は、コンバージョン率を向上させるのか?
この機能を実装すると、実際に作業時間は短くなるのか?
真の利害がある人たちを巻き込むことが必要
開発者がプロダクトの目的を理解すること
PBI に書くのはやるべきことではなく、達成したい成果
速く出荷する
出荷が遅いと、顧客の役に立たない機能を作っていることに気づくのが遅れる
仕事が複雑であればあるほど、より速く学習する必要がある
複雑な仕事では、知っていることより知らないことの方が多い
インクリメントをリリースすることで、知らないことが明らかになる
リリース後、仮説を検証できる
何が必要なのかを学び、間違ったものに時間とお金をかけるリスクを避ける
計画駆動型の管理では、速く出荷することの意味が失われてしまう
サイクルタイム:作業を開始してから出荷するまでの時間
スプリント内でおさまっているか
スプリントで扱うアイテムの大きさ
1回のスプリントで完成できる大きさになっているか
リファインメントで、小さなアイテムに分割する
リリースはゼロイチではない
さまざまなリリース戦略
ユーザーに公開はしなくても、フィーチャートグルですぐに公開できる状態にしておく
ユーザーが自分で選んで利用できるようにする
たくさんの小規模リリースを重ねることができる
スプリントごとに出荷する
継続的に改善する
シングルループ学習
組織のルールなどがある(変えられない)前提で問題を解決しようとする
ダブルループ学習
そもそもの信念やルールを疑問視する
ゾンビスクラムは、失敗に価値を置かず、失敗を避けようとする
スクラムは、失敗を早期に発見し、防ぐ方法を学ぶためのフレームワーク
継続的改善
リリースを遅らせると失敗の発見が遅れ、手遅れになる
健全なスクラムチームは自己批判的
チームでコントロールできないような阻害要因への対処
まずはコントロールできるところから始める
誰かの力を借りる
15%ソリューション
15% Solutions (Gareth Morgan)
人は自分の働き方や環境の 85% 以上をコントロールできない
コントロールできる 15% の方に焦点を当てる
自分でできることにする
何をやめるかに焦点を当てる
今やっていることの中で非生産的なものをやめる
自己組織化する
(masuyama13.icon スクラムガイド2020 では、「自己組織化よりも自己管理」と書かれている)
スクラムチームは、プロダクトや仕事の進め方の決定に必要なすべての役割と責任を持っている
他の組織の解決策をコピーしても機能するとは限らない(文化や環境が全く異なるため)
学習能力を育てることができない
学びと失敗ができる環境をつくることが大事
ゾンビスクラムでは、スクラムマスターがすべての阻害要因を解決していく
スクラムマスターは組織が経験的に働くことを支援する立場
他のスクラムマスター、プロダクトオーナー、開発チーム、ステークホルダーと協力して、徹底的に組織に影響を与え、経験主義とアジリティの向上に向けて組織を導く
自分のチームだけでなく、組織全体に影響を与える
健全なスクラムチームは、問題に対して、自己管理とダブルループ学習によって自分たちで解決策を作り出す