論文として発表されたインタフェースシステムが流行ることはない
(2018/4/8)
現在広く利用されているインタフェースは大学や企業の研究がもとになっているものがほとんどだと主張している記事がある。著者はCMUのBrad Myersで、ユーザインタフェース研究界では著名な人物である。 しかし、大学での研究が重要だったと言うのは牽強付会で、起源の主張に必死だな としか思えない。SketchpadやWebのように、大学や研究所に所属する人間が画期的なものを最初に作ったケースがあるのは確かだが、ユーザインタフェースの学会で論文として発表されたものがその後広く利用された例は紹介されていない。たとえばインタフェースビルダを発明したJean-Marie Hullot氏はINRIAでLisp方面を研究していたらしいがインタフェースビルダの論文なんて書いてない。本当に流行ったものはPARCやNeXTやAppleのような企業が作ったものばかりである。 大学や研究所で面白いものが発明されることはタマにあるが、ユーザインタフェースの学会で論文として発表されたものがその後流行することは無いというのが実情なのだろう。実際、論文として発表された後世間で利用されているシステムなどほとんど無い。そうだとすると、ユーザインタフェースの学会の存在意義はどこに有るのだろう? ユーザインタフェースの学会では新規性のあるものはすべて採録することにすれば少しは事情が良くなるだろうか? もしくは、流行するものが学会で発表されるかもという期待をやめれば良いのかもしれない。
...と思ったがWebは新規性ナシということでハイパーテキスト学会でリジェクトされたらしいし、新規性も気にしない方が良いかもしれない...
追記 2018/4/9 06:25
流行ってからシステム紹介的な論文になったものは色々あるだろう。Emacs, TeX, LaTeX などの紹介記事は存在すると思う。 追記 2018/4/26 9:44
すごく流行りそうな新しいシステムを作った人は、論文など書かずに商売を始めるか、拙速な論文を書いてリジェクトされるであろう。つまり流行るシステムは論文にならないのだから論文になったシステムは流行らないのは当然なのだろう。簡単に証明されてしまった...