教科書:経済物理学
経済物理学(金融)に興味があるB4・M1が読むべき教科書・参考書を説明する.
前提:確率過程についての知識
前提として,金融の経済物理学に入門するには,確率過程の知識が必要である.次のノートの1~3章をマスターすること:
より詳細については別のページ教科書:確率過程を参照すること.具体的には,マルコフ過程の標準形の理論・確率微分方程式⇔マスター方程式の対応関係,伊藤の公式などを知っておく必要がある.これを知らない状態では教科書の『語彙』がさっぱりわからないため,入門すらできない. 経済物理学の標準的教科書
金澤が最初に読むことを強く薦める教科書は経済物理の大家であるJ.-P. Bouchaudが書いた次の教科書である:
非常に丁寧に書かれており,何がopen questionなのかも記載されている.真面目に読むことを薦める.特に17章までを読み切ることを薦める(18章以降はBouchaudが精力的に研究しているlatent order bookの内容だが,ここはまだ業界として確立していると金澤は思わないので,『Bouchaud groupの主張』だと思う.つまり,17章までが『確立した教科書的内容』だと思う).
一方で,J.-P. Bouchaudの教科書はBouchaud周辺のグループに限った研究成果の集大成という側面が強い.経済物理学は良くも悪くもグループによって研究している内容が異なる(つまり,経済物理学は各グループごとにモデルがあり,非常に雑多).多くの研究テーマ/モデルを概観するという意味では次の本が良い: