教科書:ゆらぎの熱力学
ゆらぎの熱力学の教科書は最近増えてきている。
前提:確率過程についての無料ノート
金澤が配布している無料資料としては、
金澤が書いた確率過程の速習ノート(速習・確率過程入門~拡散現象のモデリング~)
を最初に読むと、ゆらぎの熱力学を学ぶ前提となる確率過程の知識が身につく。もしくは、少し古いが
揺らぐ系の熱力学の基礎(金澤著)
はゆらぎの熱力学と確率過程の初歩を両方,短くまとめている。確率過程自体に興味がある人は #教科書:確率過程 を参照すること.
日本語の教科書
次の書籍は、ゆらぎの熱力学(特に情報熱力学)の第一人者が書いたものであり、お勧めできる:
沙川貴大著、非平衡統計力学: ゆらぎの熱力学から情報熱力学まで
また齋藤先生もこの分野の第一人者であり、こちらの本も併せて読むと良いかもしれない:
齊藤圭司著、ゆらぐ系の熱力学: 非平衡統計力学の発展
これらの本が出版される前までは、次の本がよく読まれていた(関本先生は分野の創始者の1人):
関本謙著、ゆらぎのエネルギー論
ただ、もう記述が古いので、今から最初に読むのであれば沙川先生と齋藤先生の本を推薦したい。分野に詳しくなった研究者が、2000年代の問題意識を知るうえで関本先生の本を読むのは今でも意味があると思う。
英語の教科書
今学ぶなら,白石先生の次の本が決定版だと思う.
Naoto Shiraishi, An Introduction to Stochastic Thermodynamics: From Basic to Advanced (Springer, 2023)
それまでは関本先生の本も良く読まれていた:
Ken Sekimoto, Stochastic Energetics (Springer, 2012)
読む順番についてのおすすめ
金澤だったら,今なら
1. 金澤の短い確率過程のノート
2. 沙川先生の和書
3. 白石先生の洋書
の順に読むと思う.特に白石先生の本は辞書の広範をカバーしているので,読み終わった時点で研究に入れると思う.