ファシリテーターの3つの柱
「ファシリテーターにとって傾聴は最も大切なことですか?」と今日あるところで問うていただいたので、その場で考えを巡らせて返答したことをメモ
ファシリテーターのありように、仮に柱が3つあるとしたら、
その一つは「よく聴くこと」になるだろう。
「質問力」と言われがちだが、我々はたずねるという言葉がしっくりくる。 傾聴の原則は、相手の心情に成り代わろうとすること(共感)であるため。 傾聴の態度が、自ずからたずねる行為に転じることはあるかもしれない。 この点で、傾聴には質問を含まないが、広い意味で「よく聴くこと」ととりあえず呼んだこの一つ目の柱の中には、たずねることや質問することも含むことになる。
カウンセリングにおいてであれば傾聴が必要な場面であっても、ファシリテーターの判断で状況を次のフェーズに進めねばならないケースがある。 このとき、傾聴の姿勢は維持したままであることが望ましいだろう
次のフェーズとは、ねらいとタネによって、事前にあるいはいまここの瞬間的に、ファシリテーターによって設計されている 三つ目の柱に、謙虚さを挙げた
傾聴も、たずねることも、影響力も、自分がどのようにそれを行えているかを、自分だけでは原理的に把握できない
それゆえに、他者からのフィードバック受容と自己への気づき self-awareness が継続的に要請される この実践のさまを、謙虚さという言葉で一旦返答したが、この言葉選びで適切かは判断しかねている
カジュアルなフレーズに言い換えれば、「この人は人として誠実だなあ」と相手に直感的に思ってもらえねば、傾聴も質問も機能しないし、影響力も及ばない。
そのように思ってもらうために、傾聴的態度も必要だろうが、そう思われるために傾聴を努力して行うものでもない
相手への純粋な興味から傾聴的態度は現れる
相手に興味もないのに、「相槌を打てばいい」「ペーシングをすればいい」と行動主義的な態度が先行すると、不幸にも誠実さからは離れていくように思われる 当初の問い、「ファシリテーターにとって傾聴は最も大切なことですか?」に対しては、
1. 3つの柱のうちの1つに過ぎないので、最もとは言い難い
2. とはいえ、謙虚さ(仮)のために傾聴から関係が始まることも多いので最もといえるほど大切とも思われる
という両義的な返答がせざるを得ない感じだったterang.icon