薔薇寓話11
------------------------------------
城の廊下は、ずぶぬれのまま引き揚げてきた生徒たちのために、たちまち水びたしになった。二人のシーカーの怪我を間近で見た連中の証言が列を流れた、彼らは潰された蠅みたくぺしゃんこにへしゃげていた。反対側の端から深刻な見解が返ってきたーー先生方はテロルの可能性を口にした‥‥
うすあかるい廊下の空気は湧きおこったノイズにかき乱された。言葉たちは列の間でぶつかりあった。何人かはスネイプの顔を思い浮かべた。これはスリザリンの陰謀ではないのか、新しい寮監はトーナメントの行方になみなみならぬ関心を寄せているのだから。だが彼らは黙っていた。城は不安に身をかたくし、どんな冗談も受け入れようとはしなかった。
‥‥過去‥‥
閉ざされた鎧戸がつぶやいていた。みぞれまじりの雨が窓をたたきつづけた。
‥‥past‥‥past‥‥
やがて監督生たちが職員室から戻ってきてみなを寮におしこんだ。ほのぐらい廊下には、無数の泥まみれの足あとと、はやくも凍りはじめた水たまりが残された。
------------------------------------
◆"Allegory of Rose" is a fan-fiction of J.K.Rowling's "Harry Potter"series.
◆"Allegory of Rose" was written by Yu Isahaya & Yayoi Makino, illustrated by Inemuri no Yang, with advice of Yoichi Isonokami.
◆(c)Group_Kolbitar.