聘義
礼記講読145☆聘義
§48.聘義
*秦風小戎
言念君子,溫其如玉
君子比德於玉焉:君子徳を玉に比せり
→君子は身の徳を玉にたぐえたものだ。
溫潤而澤,仁也;温順にして沢あるは仁なり
→玉はおのずと温かみがあって潤い、そして沢(つや)があるところは、仁の感じである。
縝密以栗,知也;縝(しん)密にして以て栗なるは知なり
→きめ細かくて堅いところは、知の感じである。
廉而不劌,義也;廉にして劌(やぶ)らざるは義なり
→筋目が立っていても物を傷つけないところがは、義の感じである。
垂之如隊,禮也;之を垂れて隊(お)つるが如きは礼なり
→身に佩びれば下に垂れ下がるところは(謙譲の形で)礼の感じである。
叩之其聲清越以長,其終詘然,樂也;之を叩けば其の声清越にして以て長く其の終わり詘然たるは楽なり
→玉を叩けば音が清らかに高く響き、終わりははっきりと絶えて余響のないところは、楽の感じである。
瑕不掩瑜、瑜不掩瑕,忠也;瑕(か)、瑜を掩(おお)わず、瑜、瑕を掩わざるは忠なり
→そして玉の美しさは瑕を隠さず、忠の心の純真に似ている。
孚尹旁達,信也;孚尹旁達(ふいんほうたつ)なるは信なり
→内に発する輝きはあまねく表面に透き徹り、信の力の通達に似ている。
氣如白虹,天也;気、白虹の如きは天なり
→また、玉の発する白虹のような光気は、天の性を表し、
精神見於山川,地也;精神、山川に見(あらわ)るるは地なり。
→玉の精気が山川に現出するのは、地の性を示している。
圭璋特達,德也。:圭璋特達(けいしょうとくたつ)するは徳なり、
→聘礼において、圭璋の玉に何も添えずに主人に贈るのは、〔玉には充分〕の徳が備わっているからである。
天下莫不貴者,道也:天下貴ばざる莫きは道なり。
→こうしたわけで、天下に玉を尊ばぬ者のないのは〔自然の〕道理である。