神皇正統記_【親房の限界】
神皇正統記_【親房の限界】
*門地の高さ(家門の誇り)は天皇への忠誠義務の深さと表裏であらねばならない。
*親房:権威があるから勝つ(勝たねばならないから味方して! 当然だよね?)
武士:権威がないと勝てない。(勝つために権威ちょうだい!)
親房:は? 商人の所存の如きあさましさ!
昔頼朝(よりとも)ためしなき勲功ありしかど、高官高位にのぼることは乱政なり。はたして子孫もはやくたえぬるは高官のいたす所かとぞ申伝たる。
→昔頼朝は比類なき勲功をたてたが、武人が高位高官に昇るのは政治の乱れであり、彼はその高官のゆえにたちまち子孫の断絶を招いたといわれる
武士たる輩(ともがら)、いへば数代(すだい)の朝敵也。御方にまゐりて其家をうしなはぬこそあまさへある皇恩なれ。さらに忠をいたし、労をつみてぞ理運(りうん)の望(のぞみ)をも企(くわたて)はべるべき。しかるを、天の功をぬすみておのれが功とおもへり。
→武士はすべて長年にわたる朝敵といってもよい。その武士が皇威に服して味方に加わって、その家その身を安堵されただけでも十二分の皇恩であろう。さらに忠をつくし、労を積んでこそ道理に適った望みも得られよう。それなのに天の功績を自分の手柄のように思っている。