☆愚管抄_渦中にいたのに認識できたのはすごい!
from 愚管抄と神皇正統記
☆愚管抄_渦中にいたのに認識できたのはすごい!
「鳥羽院うせさせ給て後、日本国の乱逆と云ことはをこりて後むさの世になりにけるなり。」
→鳥羽法皇がお亡くなりになってのち、日本国始まって以来の反乱ともいうべき事件が起こって、それ以後は武者(※)の世になってしまったのである
※武士ではなく武者。武士は姓を持ち任官している者。武者は武士に比して身分が一段下。慈円の言わんとしたところは、単に保元の乱以後、武士の時代になったということではなく、秩序の崩壊してしまったことを「武者の世」という言葉に託しているものと思われる。
「さてもさてもこの世の変はりの継ぎ目に生まれあひて、世の中の<目の>前に変はりぬる事を、かくけざけざと見侍ることこそ、世に哀れにもあさましくも覚ゆれ。」
→いや、まったく、わたくしはこの世が移り変わるその継ぎ目に生まれ合わせて、眼の前で世の中が変わっていったのをこのように鮮やかに見たことこそ、誠に感慨深く、またあさましく思うのである。
さて此日本国の王臣武士のなりゆく事は、事がらはこのかきつけて侍る次第にて、皆あらはれまかりぬれど、
→さて、この日本国の王臣・武士のあり方がしだいに移り行くことは、このように事柄を書きつけてきたような次第で、すべて明白になったのであるが、