神義論
坂井昭宏「弁神論」(べんしんろん)(『日本大百科全書』) théodicée フランス語
ライプニッツの造語で、狭義には無神論や善悪二元論を論駁して、この世界に存在するあらゆる害悪にもかかわらず、神の善であることを弁護する議論をいう。 その先駆思想はアウグスティヌスやデカルトにもみられるが、この主題を最初に独立させ、体系的に論じたのはライプニッツの主著『弁神論』Essais de théodicée sur la bonté de Dieu, la liberté de l'homme et l'origine du mal(1710)であった。
広義には、自然神学あるいは合理的神学の意味で解され、神の存在証明、神の摂理と人間の自由の問題、人間霊魂の不死の証明、神に対する宗教的、道徳的義務の問題などを含む。
この意味で、弁神論は19世紀のフランスでは、論理学、心理学、道徳と並んで、哲学の講義の四部門の一つに数えられていた。