いいことしか書いてない採用サイトは目指さない
社員なら誰でもこのページに追記できるし、特にルールもない
現代企業の採用ページへの不満
以前のサイトはエンジニアの募集にしてもイマイチ感が強く個人的に不満が多かった 人材不足がどの業界でも叫ばれるなか特に需給が釣り合ってないのがWeb業界、とくにソフトウェアエンジニアなわけですが
ていうか企業の採用サイトなんてね、不満ばっかりなんですよ。ほんとに
なぜかというとだいたいどこの企業も採用サイトは以下の2パターンに分かれるからだ
募集職種と応募条件が箇条書されたやる気のないサイト。内容が薄っぺらい割に見た目だけはまぁまぁいい。「自主性」「向上心」使いがち。
採用の専用サイトがあり、募集職種ごとにインタビューがあったり笑顔でいっぱいの写真が載ってたりする。採用を頑張ってるアピールをしている割には給料は書いてなかったりする。「笑顔」や「!」を多用しがち。
僕自身このような判を押したような採用サイトをいくつも見てきたし、そのたびにそっ閉じしてしまうわけだが、そろそろ企業の採用担当はそういうありきたりで内容のない採用サイトを考え直すべきではないかと思う
自社の採用サイトで採用をするということが一般的でなかった時代にはこういった施策は他の企業と差別化が出来てよかったかもしれない
かたっ苦しい募集要項ではなくあっとほーむな笑顔のたえない職場であることをアッピールするのは目新しかったかもしれない
しかしどこもかしこもそういう会社のいいところ(と思っているところ)を取り繕ったように切り貼りしはじめてしまったらむしろ逆効果だと感じる
なぜかといえば相対的にそういった「よさそう感」を演出すれば他の企業よりもエントリーのコンバージョンを上げられるという謎の仮説をもとに、「よさそう感は出せば出すほどいい」という論理的帰結が導かれるからだ
つまり採用サイトのコンバージョンをあげようとすればするほど、企業は採用サイトに都合のいいこと、嘘ではないが本当ともいい得ないような上っ面のいいことばかりを載せ始める
そうなると採用される側にとってはまったく意味のないサイトが出来上がっていく
企業の採用担当の評価指標は自分の施策でどれだけエントリーが増えたか(=採用が増えたか)で決まるので、浮動票的な人材をいかにエントリーさせるかということにやっきになる
しかしそういう不確実な情報を元に釣られた方は不幸だし、逆に言えば釣ってしまった方も不幸である
日本の企業社会は良くも悪くも長期雇用を前提とした仕組みで動いていて、労働者側が会社を辞めることは常にリスクが高すぎることとして忌避されている
会社側も、正社員として雇用した従業員は基本的に解雇できないから会社に合っていない人材を採用してしまった場合、その扱いに非常に困ることになる
就職は結婚とよく言うがそのとおりで、結婚前にいいところばかり取り繕っているといざ新婚旅行で海外に行って成田離婚(もう死語なのか?)、みたいな事態が往々にして起きうる
離婚と退職、どちらが忌避されるべきことなのかは議論の余地があるが、どちらにせよないならないほうがいいことには越したことがない
なので企業は採用サイト、というか採用活動においては良くも悪くも会社についての事実を淡々と記述するべきである
自分についていいことしか語らない人間はどうにも信用ならないのは当たり前
会社も人間の集まりでしか無いので同様である
昨今は体験入社という形で週1程度のインターンを制度として運用している会社もあるようだが、いいと思う
インターンや体験入社などは、ぶっちゃけ体験する側にリスクのないめちゃくちゃいい制度である
むしろ受け入れる側はとにかく色々準備とかが必要で大変だったりする
とはいえ同じチームのいち員として迎えうる人材を選ぶという点ではそのくらいの苦労は背負うべきだろう
むしろそういった苦労を人事という名の便利屋に押し付けて「もっといい人材取ってこいよ」とふんぞり返っている態度があれば問題である
とはいえ事実を淡々と記述するというのも難しくて、常に事実とは主観的なものだからである
主観的にはこう〜という事実は、客観的には全然違ったりするので
一方でよく海外のWeb企業の採用サイトもみたりするのだが、良くも悪くも日本とは全然違うのが面白い
例えばゲームチャット王手の米Discord社
ダーッと募集職種が職名で細かく並んでいて、個別のページに行くと以下のことが箇条書きで書いてある
"What you'll be doing": なにをすることになるか
"What you should have": なにができるべきか
"Benefits and Perks": 福利厚生
全体的に「これに当てはまるやつ以外は来るな」という強いメッセージを感じる
本当に高いレベルのプロフェッショナルしか募集していない感がひしひし伝わってくる
こういうのを書けるのも王手の特権ではあると思う
Slackも同じような感じ。ていうか同じ人が書いてない?ってくらい似てる
箇条書きがスタンダードなのだろうか
要求が数値的だったり具体性があるのは面白い
日本の企業の場合こういう書き方はまずしないと思う。
「入社してから何をやるか」はまず書かれていない。
なぜなら日本の企業はの採用はエンジニアリングと開発現場のことを何も知らないので、とりあえずできそうなやつを入れてそれから考えるといういきあたりばったりなことばかりやっているからである。
こういう事態はキャリア開発(笑)という言葉でごまかせることではなく、技術的なコアバリューと主体性を持って選考に望んでいるプロフェッショナルなソフトウェアエンジニアには最悪の態度であると思う。ていうかなにやらせるかわからないなら募集するなよ。
開発チームに足りていない人材がほしいなら、それこそ対戦ゲームのように今の環境において足りない1ピースを一本釣りすべきかと思う
どの役割も足りていないということはありえない。なぜなら製品が一応はリリースされているのだから。
「なにができるべきか」が具体化されていない
IT企業の採用サイトはどうせ採用担当が技術者に「今度採用サイト作るんですけど何か募集要項とかありますかね?」「まぁ…Railsとかかなぁ」「わかりました。Railsですね!」のようなざっくりとしたアンケートを取ってまとめているからそういうふんわりとした具体的には誰も募集していないみたいな採用文言が出来上がると勝手に思っている
すくなくとも採用ページの文言はその部門で働いている社員自体が書き目を通すべきだ。なぜならどのような人材を採用したいのか一番わかっているのは一緒に働く人だからである。一緒に働かない人が選考するのは狂気でしか無い。
お前は他人に自分の結婚相手を探させるのか?
IT業界の技術の移り変わりは本当に光陰矢の如しというか毎年嵐のようなものなので、必要とされる人材も常に移り変わっている
そういうのを「さーばーさいどえんじにあ」みたいな曖昧な表記で募集するのは不幸を生むようにしか思えない
少なくとも「何をしているのか」「これから何をしようとしているのか?」「それに対してどんな技術的な人材が必要なのか?」を明確にしないと募集も何も出来ないと思う
福利厚生は……まぁ最近はどこも頑張り始めてるのかな
日本は国民皆保険制度があるからいうても米国よりはマシだと思います
アメリカはいい会社に入らないと保険もままならないのでみんな必死になるわけですね
個人的には福利厚生は「いらないと思ってる人には払わなくていい給料」だと思っているので別に好きではない
会社の金で本を買ったりジムに通ったりするのが「いい」会社員像であるかのように演出されるというパターナリズムはあまり受け入れられない
その会社的な規範を守っていればどんな人間でもええやんというのが理想であると思うのだが
某社では社食やジムが無料!みたいな話あるけど普通に給料から引かれてるだけですからね
というか社食やジムだけに憧れて来るような人は門前払いされてるだろうし…
あと社食とかはどんだけ美味しくてもはすぐ飽きますよ。人間って怖いっすね
まぁ本くらい自分で買ったらいいんじゃないですかね…給料上げてさ…
ロイロの福利厚生は求める人には結構すごいものだと思います
ロイロの採用サイトはこうしていきたい
誰でもいいからエントリーしてくれ、という態度は絶対に出さない
(ソフトウェアエンジニアに関しては)プロフェッショナルが来い、という強いメッセージを出す
規模の小さい会社である以上、開発のリソースと教育のリソースを両立することはできない
多くの中小企業がそうであるように、ロイロも職人肌の強い会社であることは否めない
だがしかし自己自習できない人は結局人にも教えることができないから、そうでいいと思っている
勉強ができない人はどんな環境を用意しても勉強しない。残念ながら。
プログラマーは才能と学習力の差で数百倍、それ以上の価値の差が出る稀有な職業である
それゆえ技術的にプロフェッショナルであることが求められるのは当然と言える。医者や弁護士のように。
なので新卒中途問わずに正社員として入る人は、学校でソフトウェア開発の基礎知識を付けてきてください
未経験者の人は、オンライン学習などでリカレント教育を受けて来てください
未経験の人が来ても正直困るし、多分採用されません
大学生のアルバイトは唯一の例外で、ソフトウェア開発を手取り足取り教えてもらえます。おすすめです。