休みたいあなたのための「休み方」講座
元記事
1978年に当時の厚生省が、健康づくりの3要素は「運動」「栄養」「休養」だと発表しました。 健康づくりの3要素の「運動」「栄養」「休養」のうち、「運動学」は学校で学べるんですよ。「栄養学」も同様で、大学でも学べます。でも、健康づくりの3要素の最後の「休養」は学べないんですね。
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労働時間はそれほど長くないのに、睡眠時間が短い。私はここにちょっと疑問を感じました。「日本人は働きすぎだ、勤勉だ」と勝手に思っていますし、働くことが美徳だと思っています。でも、実際にはそれほど働いていないんです。
3大生体アラーム(未病サイン)
1. 発熱
2. 痛み
3. 疲労
疲労感 ≠ 疲労
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「疲労とは、過度の肉体的および精神的活動、または疾病によって生じた『独特の不快感』と『休養の願望』を伴う身体の活動能力の減退状態である」。 健康の分野で考えると、過度な肉体的・精神的活動のあとの、活動能力の減退状態が疲労であるということです。みなさんはよく、「すごく疲れた」「疲労が溜まっている」とおっしゃいますよね。それって、ここで言う疲労とはちょっと違うのがなんとなくわかりますか?
ここで言っている疲労は、肉体的な活動をすると能力が減退します。例えば100メートルを走ったあと、2回目に100メートルを走ると、(2回目は)1回目と同様の活動能力は出せないです。これは活動能力が下がっているということですね。
また。頭を使うことで言うと、「暗算問題を10分続けます」といっても、1分目と10分目では暗算の能力が落ちますよね。精神的な負荷によって活動能力が下がってしまうということです。ですから、下がった状態が疲労であって、みなさんが疲労だと感じているのは「疲労感」です。疲労と疲労感は違います。
「100メートル走った」という活動能力は一緒なので、疲労は一緒ですが、疲労感は違います。この疲労感と疲労の乖離によって、今は世の中でいろいろ問題が出ているんですね。本来であれば、疲労と疲労感はいつも両輪のように一緒に動くんです。ですから、疲労感がある時に素直に受け止めると、疲労・活動能力は下がっています。
疲労以上に疲労感によって活動能力値が下がることもある
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多くの人が、十分な休養をせず疲れたまま活動している
電池の上限値自体の低下もある(バッテリーの劣化)
活動能力値が戻らない状況で活動に戻らなければならないシチュエーションを避ける
「疲労」の対義語がないんですね。そのポイントは何かというと、活動能力を減退しているのが疲労であるならば、活動能力を上昇しているものが疲労の対義語でなければならない。ということで、本来は「活力」がなければならない。
活力が加わることによって、減少して増えて、減少して増えて……というサステナブルなサイクル、エコシステムみたいなものが出来上がるんですが、この「活力」を見落としがちなんですよね。 https://scrapbox.io/files/66388fd78c307e002437e97e.png
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休むことは「罪悪」ではなく「準備」
休養の7タイプ
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転換タイプについて
環境を変えること
自分の体と社会の境目に何があるかというと、「皮膚」なんですね。外部環境との境目は皮膚、皮膚の外は外部なんですね。だから外部を変えてみましょうということです。
一番典型的なのは旅行ですね。今の外部環境を変えてみるということです。でも、なかなか旅行に行けないとなったら、もっと手軽に「机の周りを整理してみよう」とか。
ドイツの習慣
片野:はい。会社のスタートって、日本だと年度が4月からじゃないですか。でも、ドイツの場合は1月1日からスタートするんですね。(新年度の)最初にみなさんで集まった時に何をやるかというと……。
長野:何をするんですか?
片野:まずはカレンダーを広げて、自分が休みたい日をみんなで決めるんです。
長野:おもしろい。
片野:彼らは、「しっかりと休めないと、いいパフォーマンスが出ない」という発想なんですね。日本もその発想に近づいていただきたいなと思います。
仕事の時間は「オフタイム」から決める
片野:あと、3つ目がオフタイム。ここから仕事の時間を決めてほしいです。「朝起きて、会社に行って仕事を始めます」ということではなくて、その日に何をやらなきゃいけないのかって、ある程度はわかると思うんですね。そこに自分自身のエネルギーがどのぐらい必要なのか、わかるようにしておかないといけないと思います。
そうすると、前の日から「しっかりと休みをとっておかなければいけない」「夜更かししてはいけない」「深酒してはいけない」ということが、自然とわかると思うんですね。そうすると24時間の中でタイムマネジメントできると思うので、自分自身でそれをやっていただきたいなと思います。
日曜日スタートのカレンダーの有効性
日報 週報 によって見込みを立てればエネルギー消費の見込みも立つ https://scrapbox.io/files/663891af30768600249aa354.png
Dは「Distance」、Rは「Relax」、Iは「Input」、Cは「Control」という、この4つの言葉の頭文字を取ったのがDRICなんですが、これを、先ほどの休養の7タイプにうまく組み合わせていただけたらいいかなと思っています。
最後が大切なんですが、コントロールです。これはちょっと乱暴に書いたんですが、「わがままになる」ということです。
どういうことかというと、自己決定権を持つということです。自分自身の行動や活動の中で、相手に合わせる、あるいは家族に合わせるなど、自己決定権を持っていない活動はストレスなんです。ですから1日の中で、自分で決定することができる行動をとっていただきたいと思います。
10分でも20分でもいいんです。「これは自分の時間なんだ」という自分の時間であれば、わがままになっていいですよね。わがままというのは、自分があるがままになるってことですから、好き勝手にするということではないんです。ほかの方に迷惑はかからない自分の時間なので、自分がやりたいことを決めて、やりたいことをやるようにしていただきたいと思います。
言葉を変えると「マイペース」にもつながると思うんですが、他人のペースに合わせるのはなかなか疲れるんですよ。なので、もしリラックスしたい、休養をとりたいなら、少しだけでも自分のペースを考えていただきたいです。
休暇において予定バッファを設けて自分で意思決定できる時間を作れるか