P値
私はその中で、そもそも帰納的な科学における統計の役割に惹かれました。ある現象を観測したらある法則が成り立ちそうなことがわかりました。でも1回の観測では説得力がありませんから、何度も繰り返し観測します。これが法則として認められるのは、何回観測すればよいのでしょうか。20世紀初めに確立された統計的仮説検定の手法は、帰納的な科学において初めて、仮説の定量的な評価を可能にしたものです。しかし、残念ながら計算機のある今の世界では、統計的仮説検定に基づく今の方法論は壊れかけています。統計的仮説検定では、まず仮説を固定した上で「この仮説が成り立たないとすれば、今得られた実験結果が偶然得られる確率はどのくらいか」を問います。この「仮説を固定した上で」というところが重要なのですが、今の計算機パワーを用いれば逆に、実験結果を固定した上で「この実験結果によく合う仮説は何か」を探してくることができます(例えば「米国の科学予算は、首吊りなどで自殺する人数に比例する」は、統計的仮説検定では真と認められる仮説です。このような「寄生相関」はよく知られています)。このため、科学者がよく理解せずに形式的に統計的仮説検定を使うべきではありません(米国統計学会は2016年に統計的有意性とp値の利用について警告を出しました)。第4の科学の時代に、今までの 統計的仮説検定(p値)に基づく方法論を見直す時期に来ているのは明らかです。この100年間以上認められてきた科学の方法論の賞味期限が切れかけているのであれば、科学の営みの中で私達が当たり前だと思っている他の価値観についても、もう一度吟味しなおしてもよいのではないでしょうか。
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p値は背理法でいう矛盾を程度問題に置き換えた物、としたらどうなんだろう
帰無仮説を仮定(示したい事の否定を仮定)
p値を計算する(仮定を元に論理展開する)
p値が有意水準を下回る(矛盾が導かれる)
帰無仮説が棄却される(仮定の間違いが示される)