トランスメディア・ストーリーテリング
ひとつのIPを世界観に整合性がある形でマンガ、アニメ、ゲームなどに展開。それに触れたユーザーが各作品をパズルのようにつなぎ合わせて「そういうことか!」と感動を得られる大きな物語になるよう設計されたメディアミックス展開。メディアフランチャイズやライセンスビジネスは商品そのものを中心として展開するが、TMSは背景にあるストーリーを中心として展開するのが大きな違い。
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そして次の大きなストーリーテリングの進化はマーベルとIPのユニバース化。これは複数の続編を毎年出して、それが一つ大きな世界の中で繋がるようにした。2008年にMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)が映画「アイアンマン」で始まったが、マーベルは複数のキャラクターのストーリーを映画で伝え、エンドクレジットのシーンで実は同じ世界に存在していることを見せた。5本の映画を作り終えてから最初の「アベンジャーズ」がリリースされるが、そこで爆発的に人気なる。
の通り Marvel のユニバース化について書かれているのだけれど、最初に読んだときはあまりピンときていなかった。いちおう Marvel が大人気ということは肌で感じているし、シリーズものとして展開することでうまいことやっていることは知識として知ってはいるけれど、Marvel シリーズの映像作品をほとんど視聴していないこともあり、ピンとくる素養がなかったのだと思う。 他方、漫画に対しては一定の熱意があるので、漫画業界で考えてみるとどうだろうか、と考え始めたらメモしておきたいことが見つかったのでページを起こした。どういった切り口のページにしようかと考えて関連しそうな記事を読み漁っていたら「トランスメディア・ストーリーテリング (TMS)」という語彙に出会ったので、これをページタイトルに採用する。 ここで、ぼくがパッと思いつく漫画作品からの派生作品の一部を並べてみる。他にもたくさんあるでしょう。
『ジョジョの奇妙な冒険』の舞台を描いた小説として『The Book』や『恥知らずのパープルヘイズ』は大好きな作品で、原作ファンとしても「よくここまで丁寧に描いてくれた」と大満足の仕上がり。ただ、漫画原作に対するスピンオフ漫画については好意的に受け止められずに過ごしている時期があった(ページ最下部の「余談」に書いた)ため、気持ち的に流れに乗り遅れてしまったのは不運だった。 それでも『ヴィジランテ』等を楽しく読んでいるうちにスピンオフ漫画に対するネガティブな印象も次第に薄れていき、今ではニュートラルな気持ちで楽しめるようになってきた。 自分の中で漫画は「作者である漫画家個人に強く紐付くもの」というイメージが強くて、スピンオフ作品を見るときに「他者が構築した世界を借りて漫画を描くのって、どういう気持ちなのだろう?」という疑問を感じていた。最近は原作と作画で分業する事例もたくさん知ってきて、ある意味で失礼にあたるようなその手の疑問は抱かなくなってきた。他のフォーマットだとそうでもないのに、なぜか漫画に関しては「作家性」を強く求めてしまっていたというか、個人の所有物であるかのような勝手な感覚を長いこと持ってきてしまった。
ぼくは日本の漫画が大好きなので、これからもおもしろい作品にたくさん触れていきたい。そのために、漫画というフォーマットやそれを制作するプロセスについても柔軟なスタンスで向き合いたいとあらためて思った。なにかのタイミングでぼくが「こんなのは漫画じゃない」みたいな狭い見識での主張を述べるようになったら漫画の発展の足を引っ張る存在になってしまうと思うので、そうはならないように生きていきたいものだ。
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余談
今にして思えばこれは『ドラゴンボール超』の影響だと思う。漫画版の『ドラゴンボール超』の単行本の巻末おまけページには、とよたろうさんと鳥山明さんの対談などが掲載されている。その中で、とよたろうさんが描いたものに対して鳥山明さんが「修正」「描き直し」という形で関わっていることが紹介されていて、ぼくにはこれが「よい関係」には感じられなかった。結局、件の漫画は途中で読むのをやめてしまった。 https://gyazo.com/999e14fd8c714da9377cba09b827c5c3