セカイ系
それによればセカイ系とは「主人公(ぼく)とヒロイン(きみ)を中心とした小さな関係性(「きみとぼく」)の問題が、具体的な中間項を挟むことなく、「世界の危機」「この世の終わり」などといった抽象的な大問題に直結する作品群のこと」であり、代表作として新海誠のアニメ『ほしのこえ』、高橋しんのマンガ『最終兵器彼女』、秋山瑞人の小説『イリヤの空、UFOの夏』の3作を挙げ、肯定的な評価を与えた。
高橋しんさんの『最終兵器彼女』は、たしか 20 歳前後の時期に読んだので「なるほど、ああいう感じか」と想像している像はある。紙で全巻を持っていたよなあ。 「セカイ系」というフレーズを聞いたことはあるが、それがなんなのかよくわかっていなかったのであらためて調べてメモを取っている。
1.回想的モノローグ
2.固有名詞の欠如
3.情景描写の欠如
なるほど、なんとなく感じるものはあるね。「回想的モノローグ」でぼくが最初に想起するのは矢沢あいさんの『NANA』かな〜。これも 2000 年に公開された作品なので、同じ時代の雰囲気をまとっているのかもしれない。 「セカイ系」とは、単に作品の性質を指す言葉というだけでなく、インターネット上の考察や批評家による言説も巻き込んだ、一種の「文芸運動」(前島賢『セカイ系とは何か』文庫版の紹介文より)でもあった。
これを踏まえるならば、「小さな関係性と抽象的な大問題の直結」や、あるいは新海誠作品との類似を確認したケータイ小説の「固有名詞や情景描写の欠如」といった特徴も、したがって作家の個性の発露ではなく、当時の情報環境に潜在していた性質が作品を介して出力されたものだと考えられるだろう。
ここがいちばん興味をひかれるポイントだな。当時の「情報環境」から生まれた作品群と解釈するのはおもしろい。 KAI-YOU のプレミアム的なやつに登録したので記事の全文を読んだが、有料部分はここに引用として貼ることは控えておこう。