解説記事より、体験記録から始めるのがおすすめ
ソフトウェア開発業界の、とくにオープンソースソフトウェアをおおいに活用している界隈では、しばしば「アウトプット」がトピックとして挙がる。具体的には「知見をブログ記事にして発信して貢献しましょう」といった言説をよく見かける。
アウトプットしなきゃ、アウトプットするぞ、と外発的な動機によって肩に力が入っているとき、整った形式での「解説記事」の類を書こうとするパターンがある。それでうまくまわっているならぼくから言うことは何もないけれど、けっこう難易度の高い道なのでおすすめはしていない。それよりは「体験記録」を肩肘張らずに書いていくのがおすすめ。どういうことか。
たとえば、なにかしらのアプリケーションをつくろうとしていて、なにかしらの API を利用することになって、なんかうまく実装できないな〜となって当該 API のドキュメントをよく読んでみたらいい感じのオプションを発見して、そのオプションを使えばいい感じに実装を進めていける、とわかって進捗が出たとして。
「解説記事」と言っているのは、その API のオプションについて網羅的に解説するようなやつ。よほど詳しい人が書くのでない限り、だいたいのケースにおいてドキュメントのコピーみたいな内容になりがち。
「体験記録」だとどうなるかというと、ざっくり下記のような感じ。
こういうことをしようと思って API を使ってみたけど実装がうまくいかなくて、ドキュメントをじっくりと読んでみたらこのオプションを発見して、それでうまくいった。◯◯したい状況ではこのオプションを使うと便利ってことがわかった。
「どういう状況でその API を使おうと思ったのか」「うまくいかなかったことはなにか」「ドキュメントをじっくりと読むまでオプションに気付かなかったこと」などが記されていて、自分ならではの体験記になる。ドキュメントのコピーみたいな内容を生成するよりはいくらか有益になりうる。
質の高い「解説記事」ってのは多くの体験の蓄積に裏打ちされているケースが多いので、いきなりそういう難しいことをやろうとしなくとも、まずはひとつひとつの体験を積み重ねるためにも「体験記録」の方からやっていくのがおすすめ。
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