小学校の参観日のこと、ひとつだけ覚えている
思い出話を書く。たぶん小学 4 年生くらいの頃の話。この回は父親が観にきてくれていた。当時の自分は「自分を客観視する」スキルをほとんど持ち合わせていなかったと思うが、大人になってから思い出してみると、とても張り切っていたのだろう。 授業は国語だった。児童たちが、なにかしらのテーマにそって作成した詩を発表する時間だった。
詳細はあまり覚えていないのだけれど、とにかく手を挙げて発言した方がいいと思っていた自分は、クラスメイトの詩に対してとても狭い見識で「もっとこうした方がいい」という考えをハキハキと述べたのだった。よし、親が観にきてくれている授業で、手を挙げて発言することができたぞ、と手応えを感じていたように思う。
授業が終わって父親と合流して「さあ、帰るぞ」となったタイミングで、どうやら自分のふるまいはよろしくないものであったとフィードバックを受けた。ぼくは自分のダメなところに気が付いて大泣きした。自分の手柄のために、無自覚にクラスメイトの詩を踏み台にしてしまったのだろう。
こうして書きながら思い出すだけで、胸が詰まるような感覚だ。ちなみに、人生においてこれと同種の後悔をもう一度、味わうことになる。