リソースの余裕
リソースの余裕があると、できることが増える。
動物にとって原始的なところから考えてみると、たとえばそれは食料。食料がじゅうぶんに確保できなければ、その集団の中で個体になんらかの評価関数を適用し、評価値の高いものから順に食料を割り振ることになるだろう。なんらかの軸でハンディキャップを負っているような個体のケアはあとまわしになり、生存の難易度が上がる。
食料をたくさん確保できるようになりそれが安定してくると、より多くの個体を生存させられるようになる。人類の歴史も、おおざっぱにそのような流れをたどってきたと言える。「人権」という概念が登場して以降も、リソースを増やし、余裕が生まれた分で人権の適用範囲を広げる、ってのを繰り返してきただろう。
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「リソースの余裕が増える」「ケアする対象を増やす」という流れは、ポジティブな事象と言える。むずかしいのは「リソースの余裕が減る」に直面したときで、そうなると、これまでに守ってきたなにかを切り捨てなければならなくなる。人口ボーナスが期待できなくなった国家にとってこれは難題となる。世界的な雰囲気としては「すべての人に!」「◯◯を行き渡らせる!」があると思うけれど、リソースの余裕が増えているならどんどんやっていけるとして、余裕がみるみる減っていく中でこれをやっていくのはかなり難しいのではないか。 人口ボーナスに頼らない形でリソースの余裕を増やしていく方法を見つけるか、さもなくば、ひとりひとりがなにかを手放していくような選択を迫られることになりそう。