オールラウンダー廻
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遠藤浩輝さんの作品はどれも好きなのだけれど、その中でも『オールラウンダー廻』は特に好きで、読み直している間にテンションが上がってきたのでこのページをつくることにした。 この作品のなにがおもしろいのか、説明はなかなか難しいと思う。もちろん「絵がうまい、特に人体」「格闘技のことが丁寧に描かれている」という基本的な要素はあるのだけれど、ストーリーのおもしろさはどこにあるのか。
まず、高柳廻には「海賊王になる」的なわかりやすい夢はない。だから、読んでいる間ずっと「この話はどこに向かうのだろう…?」が見えてこない。高柳廻には必殺技もない。ジムの仲間たちからもそのことでいじられる。だからこそ「オールラウンダー」なのだけれど。 でも「人生ってそんなもんじゃない?」と思ってみれば、妙なリアリティが感じられる。でっかい夢も必殺技もなくたって人生は続いていく。「このままこれを続けて、なんの意味が?」と思うようなこと日があっても、やっぱり人生は続いていく。わかりやすいドラマとして仕立てられた起承転結がなくたって、高柳廻の人生は続いていくのだ。ぼくは夢中になってそれを目で追っていく。 作中にジョジョの奇妙な冒険から持ってきたと思われる要素がたまに登場するのも、ぼくにとってはおもしろポイントだ。