ひとつの軸における正しさは、ひとつの軸における正しさでしかない
この医学的な解と社会的な解との折り合いをつけるために、文化人類学者と現地の宗教リーダー、コミュニティリーダー、それから感染症対策の専門家と共同で、これなら感染のリスクを無くしたうえで、人々が尊厳ある死を迎えられるという、「安全な尊厳ある埋葬」というやり方を開発しました。
整理すると、こういうことだ。
(A)安全な埋葬
感染のリスクを低く保つことができる
(B)尊厳ある埋葬
尊厳を守ることができる
(C)安全な尊厳ある埋葬
上記(A)(B)のよいところを両立できる
(ちなみにここでは、単純化のためにそれぞれの方法のコストは考えずに話を進めている)
しかし現実には、(A)派と(B)派が対立関係に陥ってしまって対話どころではなくなってなにも達成されないことがしばしばある。 自分が(A)派だとしたら、どんな感情があろうとも(B)派を頭ごなしに否定して対立ルートに入ることは避けたいところだ。まずは(B)派がなにを大事にしようとしているのか、好奇心をもって理解に努めたい。 「論破」をもてはやす雰囲気が怖いなぁと思うのは、それが、(A)派と(B)派がお互いに相手を攻撃することを助長するように感じられるからだ。エネルギーは(C)のような選択肢を見つけるために費やされてほしい。論破よりもかっこいいことがあるぞ、対話をやっていこうぜ、と吹聴していきたい。