ユニクロ
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『ユニクロ』杉本貴司・著 日本経済新聞出版
◆目次◆
プロローグ──人が消えた商店街
第1章 寝太郎──無気力青年はなぜ覚醒したのか
第2章 暗黒時代──もがき続けた雌伏の10年
第4章 衝突──理解されない野望
第5章 飛躍──東京進出とフリースブーム
第6章 挫折──「会社が壊れていく」、新たな才能と去りゆく老兵
第7章 逆風──迷走した禅譲劇
第8章 突破口──世界進出もたらした「問い」
第9章 矛盾──「ブラック企業」批判が投げかけたもの
第10章 再起──悲願の北米再建の裏にあった葛藤
第11章 進化──情報製造小売業への破壊と創造
エピローグ──世界はつながっていた
参考文献
本日ご紹介する一冊は、山口県のさびれた商店街の紳士服店から始まり、世界3位、年商3兆円が現実的になり始めたファーストリテイリングの成長物語。前半には、創業者・柳井正氏を育てた父と、本を通じて影響を与えた偉大な経営者たちの思想、無気力な若者を奮起させた出来事が書かれており、これから起業を志す若者に刺さる内容となっています。
影響を与えた松下幸之助、レイ・クロック、ピーター・ドラッカー、ハロルド・ジェニーンの経営哲学は、特に勉強になるのではないでしょうか。ストイックで実力主義、商売に関しては柔軟な姿勢を持っていた柳井氏のスタンスは、時として社内外で軋轢を生み、それゆえに問題も起こったようで、本書には、その辺のエピソードも書かれています。広島銀行の支店長だった柳田氏との対立、後継社長だった玉塚氏の更迭などに関しては、丹念な取材がなされており、裏舞台を詳しく知ることができました。
また、苦い経験となった2号店の失敗や海外進出の失敗、野菜ビジネスの失敗など、ニュースで騒がれた失敗の実情も知ることができ、経営者にとっては、生きたレッスンとなること間違いなしです。
引用
「もし一円玉が落ちていたら迷わず拾え。恥ずかしがる必要なんかない。商売は一円の積み重ねやけん。逆に、ない袖を振ってもつまらんぞ」(父の口癖)
姉は自宅にやってきた柳井青年の足元に注目したのだという。特に高級というわけでもない古い靴を履いていたが、古くて質素な品だからといっておろそかにすることはなく、ちゃんと磨いて丁寧に使い込んでいることが見て取れたというのだ
流通業の先駆者、小嶋千鶴子からの教えとはなんだったのか。柳井に聞くと「小売業をシステムとして確立しようとしたこと。そのため、とにかく教育熱心であること」と返ってきた
祖業である紳士服は、一着が5万円から10万円はする。単価が高いのは良いが一方で、なんと言っても回転率が悪い。(中略)しかもスーツを売るには丁寧な接客が不可欠となる
時代の変化を傍観するのではなく、今手の中にあるもののはるか先にあるもの、周囲からは「アホじゃないか」と思われるくらいのことを考え、行動に移せ
クロックの言葉が胸に響く。「Be daring, Be first, Be different(勇敢に、誰よりも先に、人と違ったことを)」
最初から改装しなくてもよい店作りに
もはや国際社会は貿易によるモノの交換という大航海時代以前から徐々に築き上げられた古い形の分業体制から、製造や販売まで緻密に一体化された水平分業体制に移行している
現実の延長線上にゴールを置いてはいけない
「それまでも僕は努力してきた。でも、たいして成長がなかった。それはなぜか。行き先を決めていなかったからです」
「僕は行き先を決めた。どうせ行くなら行き着く先まで行こうと決めた。それは世界一になることです。世界一になるために仕事をやろうと決めたんです」
「失敗したらどうするのか。ほとんど失敗する」
ジェイはこう語る。「これは服の民主主義なんだなと思いました」
「もし、ここに高く堅い壁があって、そこにぶつかって割れる卵があったとしたら、私は常に卵の側に立ちます。どれほど壁が正しくて、卵が間違っていたとしても」(村上春樹氏の演説)