エフェクチュエーション
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サラス・サラスバシー・著 加護野忠男・監訳 高瀬進、吉田満梨・訳
◆目次◆
PartI 経験的探訪 起業家的熟達
PartII 理論的探訪 エフェクチュエーション
PartIII 通過地点
PartIV 進むべき方向
『エフェクチュエーション』のバイブル的存在。
著者のサラス・サラスバシー氏は、インドで生まれ、ボンベイ大学で統計学、カーネギーメロン大学で情報システムとアントレプレナーシップを専攻した研究者にして起業家。ノーベル経済学賞受賞者である、ハーバート・サイモン教授の最晩年の弟子としても知られる人物です。
著者は、熟達した起業家の意思決定についての研究で博士論文を執筆しており、この『エフェクチュエーション』は、その集大成とも言える一冊。
「市場が既に存在する」と考える、フィリップ・コトラーの伝統的なマーケティング・マネジメメント(コーゼーションと呼ぶ)へのアンチテーゼとも言える考え方で、以下の3種類の不確実性が存在する時に有効とされています。
1.確率分布も結果も未知であり、確率や予測される結果を計算することが不可能な状態
2.選好が所与ではなく、うまく順序づけもされていない状態
3.環境のどの要素に注意を払うべきで、どれを無視するのかが明確でない状態
熟達した起業家たちがどのようにビジネスを進めて行くか、分析からわかった「5つの原則」は、ぜひ読んでおくべきだと思います。
5つの原則
・「手中の鳥」の原則
・「許容可能な損失」の原則
・「クレイジーキルト」の原則
・「レモネード」の原則
・「飛行機の中のパイロット」の原則
quotation
市場は「発見される」ものではなく「つむぎ出される」もの コーゼーション「因果推測」の問題は、「意思決定」の問題である。エフェクチュエーションの問題は、「設計」の問題である 起業家は「彼らが誰であるのか(whothey are)」、「何を知っているのか(what they know)」、「誰を知っているのか(whom they know)」から出発することで、機会をつむぎ出す 「彼らが何を知っているのか(whatthey know)」の源泉は、大きく2つあった。以前の職務経験を活用することと、彼らの経験について何らかのアナロジーを用いることである
「彼らが誰を知っているのか(whom they know)」では、調査協力者は、彼らの戦略パートナーを、最初の顧客として選択した
私にとってのマーケットリサーチは、実際の販売をやってみることです
エフェクチュエーションのモデルでは、意思決定者は、あらかじめ決められた結果や市場からはスタートしない。その代わりに彼らは、可能な所与の手段を定義することからスタートし、次に、偶発性を伴うやり方で、幾つかの可能な結果から選択するのである。また、継続的に新しい機会をつむぎ出し、かつ、それを有利に活用しようとする
「手中の鳥」の原則:手段からスタートし新しい結果を創る
「許容可能な損失」の原則:コーゼーションに基づく起業家にとって、創業の決断は、優れた意思決定をするために、出来る限り正確にさまざまなパラメータを特定することを意味する。対照的に、エフェクチュエーションの論理は、ベンチャーを始める上で、「どれだけなら失うことができるか?」の決定を要求する
「クレイジーキルト」の原則:調査対象者たちが好んだスタートアップの始まりは、顧客を関与者としてパートナーシップに巻き込むことだった
「レモネード」の原則:「すっぱいレモンをつかまされたら、レモネードを作れ」
「飛行機の中のパイロット」の原則:「不確実な未来における予測可能な側面」に焦点を合わせる
既存の現実を新しい可能性に変容させることを通じてイノベーションを起こす方法のひとつは、手持ちの手段で何ができるかを問うことだけでなく、それらを使って、他に何ができるかを問うことである