[テキスト]個人情報等優越的地位濫用ガイドライン案に関する個人情報保護委員会の考え方
「デジタル・プラットフォーマーと個人情報等を提供する消費者との取引における優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方(案)」に関する個人情報保護委員会の考え方について
令和元年8月29日
個人情報保護委員会
個人情報取扱事業者による個人情報の取扱については、当委員会が所管する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号。以下「個人情報保護法」)において、規律の対象とされている。
個人情報保護法による規律は、営利性や規模の大小を問わない全ての個人情報取扱事業者を対象としていることを背景に、その規律のレベルは、あらゆる場合に妥当する必要最小限の対応を求めるものともいえる。このため、事業の性質・態様に照らせば消費者にとってより望ましい保護策をとり得る場合であっても、そのような保護策がとられないことをもって、直ちに個人情報保護法上問題があるとは評価されない場合がある。
この結果、消費者に対して優越的地位を有するデジタル・プラットフォーマーにあっては、個人情報保護法に違反する場合だけでなく、個人情報保護法に違反するとはいえない場合であっても、消費者に対して、正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることとなる場合がありうる。こういった場合については、今般、公正取引委員会において、「デジタル・プラットフォーマーと個人情報等を提供する消費者との取引における優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方(案)」を示し、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号。以下「独占禁止法」)の観点から、是正され得る旨が示されたところである。
このため、同考え方(案)が個人情報保護法の規律対象に関わることにかんがみ、同考え方(案)の意見募集手続きにおける参考となるよう、下記の通り当委員会の考え方を整理する。
記
1. デジタル・プラットフォーマーによる個人情報の取扱に関する個人情報保護政策の観点からの当不当については、当委員会が個人情報保護法に基づき評価し、必要な法執行を行う。
2. 上記の場合において、当委員会が、個人情報保護政策の観点からの当不当とは別に、消費者に対し優越的地位にあると評価され得るデジタル・プラットフォーマーによる個人情報の不当な取得や不当な利用が疑われる事実を知ったときは、当委員会は公正取引委員会と必要な範囲で連携を図る。
3. なお、公正取引委員会において個人情報の取扱に関連し、デジタル・プラットフォーマーによる消費者に対する優越的地位の濫用に該当し得る事実を知ったときは、個人情報保護政策の観点からの評価も要することから、当委員会と必要な範囲で連携が速やかに図られるよう、当委員会として公正取引委員会に対し要請する。
以上