奥村組土木興業執行停止申立て
平成28年12月14日 東京地裁決定
東京地決平成28年12月14日・平成28年(行ク)第279号〔奥村組土木興業執行停止申立て〕
拙稿・公正取引797号(平成29年)
東北支社発注舗装災害復旧工事談合事件
以下も含め、公正取引3月号に拙稿。
指名停止による財産的損害について(15-16頁)
申立人に関係する発注者の具体的状況に照らした判断をして、否定。
排除措置命令による通知等に起因する信用毀損について(16-18頁)
通知等の相手方は、工事の発注者・同業他社・申立人の従業員のみ(17頁)。
「共同して行っていた」違反行為を行っていないことを確認する旨求めている〔排除措置命令の〕記載は、違反行為を特定するための記載であって、同命令が、上記記載をもって、申立人に対し違反行為を自認するよう求めるものとは解されない〔最決昭和52年4月13日を引用〕のであって、申立人が同命令を履行しつつ、これとは別に、申立人が上記違反行為をしていないことを主張し、同命令を不服として訴訟を提起して争っていること等を上記関係者に説明することは同命令に反しない。」(17頁)
違反行為の不存在を主張し係争中であることを公表することはできる(17頁)
一般消費者が相手の事業ではない(18頁)。
その他
本件に先行する3件の取消訴訟では、いずれも、提訴時に排除措置命令を履行済み(14頁)
コンデンサの本訴で争っている内容が定かではないので、単なる可能性であるが、かりにこれらの原告が、共同行為をしていたこと自体は認め、その範囲を争っているだけであれば、「共同して行った、・・・旨の合意が消滅」を確認し通知することには抵抗は小さいであろう。共同行為を全く行っていないと主張する会社にとっては、14頁ウの認定は、関係がないように思われる。
本件の本訴(取消請求)の内容は、今回の決定書11-12頁(「本案について理由がないとみえるとき」に関する主張)において垣間見える。
奥村組土木興業は、この事件で、排除措置命令のみを受けている(課徴金なし)。