事例解説アウトライン2021-09-30
いわゆるアフターマーケット事案
東京地裁民事8部
独禁法24条による差止請求があり、知的財産が関係していない。
公取委命令取消訴訟は民事8部であるが、差止請求は知的財産が関係する場合など民事8部とは限らない。
当事者名等一覧なし
被告会社がプレスリリース
本件各プリンタ p4
いずれもカートリッジは共通の模様
「カートリッジ」の略語説明 p2
DCP-J577N(本件プリンタ1)(旧→新)
MFC-J898N(本件プリンタ2)(旧→新)
DCP-J978N(本件プリンタ3)(旧→新)
MFC-J998DN(本件プリンタ4)(最初から新)
MFC-J998DWN(本件プリンタ5)(最初から新)
本件プリンタ1〜3のうち平成30年12月頃以降に製造したものと、本件プリンタ4・5について、「本件設計変更」をした(本件新プリンタ)p4
本件プリンタ4・5は「平成31年3月以降」の販売 p4
原告らは「平成31年3月頃以降」本件新プリンタにおいて使用可能な互換品カートリッジを販売 p5
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ということは実際には本件には本件プリンタ4・5はあまり関係がない(?)
「本件設計変更」(pp4-5で用語定義)
正当化理由の無有 pp19-
「具体的な必要性があったとは認められない。」p20
異物について p20
異物混入への対応として「合理的な理由は認められない。」p21
「互換品排除目的を推認させるその他の事情」pp21-
「発売開始から数か月しか経っていない」p22
以上のまとめ p22の(4)
一般指定10項(抱き合わせ販売等)
「主たる商品を購入した後に必要となる補完的商品(従たる商品)に係る市場において特定の商品を購入させる行為もこれに含まれるというべきであ(る)」p22
本件では p23
主たる商品役務「本件新プリンタ」
従たる商品役務「本件新プリンタにおいて使用するカートリッジ」
検討対象市場「被告の製造する本件新プリンタにおいて使用可能なカートリッジ等の市場」
「カートリッジ等」の定義はp3
公正競争阻害性あり
「互換品カートリッジ販売業者を上記市場から排除するおそれがある。」
原告ら「上記市場において相当程度高いシェア」
正当化理由なし(前記)
以上のように言えるので一般指定14項の検討は不要
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「後に」の可能性はもちろんあってよいが
抱き合わせに関する議論は、通常、主たる商品役務の強さを前提としているところ、本件は、(他と比べて必ずしも強い地位にあるか否か不明の)主たる商品役務を買ってしまった需要者が、「後に」従たる商品役務を買わざるを得なくなる、というところに着目しており、少し違う議論である。
抱き合わせを使える事案は、「当初機器」と「消耗品」との間に「中間必須品」がある。
Kodak事件やエレベータ事件(日本の事件では、東芝、三菱電機、日立)の交換用部品がそれにあたる(東急パーキングシステムズも)。
その場合には、(他と比べて必ずしも強い地位にあるか否か不明の)「当初機器」を買ってしまって囲い込まれた需要者に対する、「中間必須品」と「消耗品」の抱き合わせと言いやすい。つまり、そのブランドのみに狭まった市場で主たる商品役務に強い力があると言いやすい。
本件は、「中間必須品」が出てこないようであるので、一般指定14項を用いざるを得ない事例であるかもしれない。(排除効果は必要であることが前提)
本件の主たる商品役務「本件新プリンタ」については、他メーカーのプリンタとの競争があるはず
「プリンタ本体よりもカートリッジの買替え費用の方が高額になる」のであればむしろ、需要者はそれ込みでプリンタを選ぶので、「プリンタ+消耗品」という1個の商品役務をめぐるシステム競争の市場(キヤノンやエプソンなど他社を含む競争)が問題となるということになりやすい性質があると言える可能性がある。(事案の詳細は不知であるので結論も不知)
「高額」の点は被告も(が?)主張 p11
不法行為を構成 p24
shiraishi.icon他者排除型抱き合わせが違反と認められたのであるなら、競争者に対する不法行為を構成するのは自然
上記の検討のように一般指定14項の場合も同様
著しい損害 pp24-
独禁法24条の差止請求の要件
一般論 p24
「損害賠償請求が認められる場合より高度の違法性を有する場合をいい、その判断においては、当該違反行為及び損害の態様及び程度等を総合考慮して判断すべきものと解される。」
本件では該当しない pp24-25
3か月後に対応
再発のおそれがあるとは言えない
shiraishi.icon既にいくつもの事例でこれを根拠に否定
本件では信用毀損もない
損害賠償額 pp25-27