ふくおかFG/十八銀行
平成30年8月24日 排除措置命令を行わない旨の通知
公取委公表資料
公表文HTML
全部入りPDF
概要図のみPDF
審査結果のみPDF
検討対象市場ごとの結論
事業性貸出し以外 反競争性なし
事業性貸出し
大企業・中堅企業向け
長崎県全体 反競争性なし
中小企業向け
長崎県全体 違反(→問題解消措置)
県南等3経済圏 違反(→問題解消措置)
小値賀経済圏 当事会社競合なし
五島経済圏 反競争性なし
対馬等3経済圏 下記
地方公共団体向け 特段の変化なし
地図
https://gyazo.com/57d9e0786824efd54429eced543858e0
経済圏と分類
中小企業向け事業性貸出しのみに関係
審査結果6頁より
https://gyazo.com/00b07a292a65225a3a94177473c80d6f
離島以外
「県南等3経済圏」
県南経済圏
県北経済圏
県央経済圏
離島
公取委「概要図」で「離島」とされているもの
小値賀経済圏
五島経済圏
「対馬等3経済圏」
対馬経済圏
壱岐経済圏
新上五島経済圏
市場画定
中小企業向けについて「長崎県」と「各経済圏」を重畳的に画定した点が異なる
shiraishi.icon中小企業向けについて「長崎県」の画定は、やや疑問
「5割前後」の中小企業が長崎県全域等の供給者を選択肢としていることを根拠としている(審査結果5〜6頁)。
しかし、そのために「長崎県」を「各経済圏」とは別に重畳的に画定し、しかも「長崎県」について違反という結論を得たために(審査結果9〜11頁)、各経済圏ごとの市場画定によって違反なしとされた離島についても違反であるかのようにみえてしまう。
それを防ぐためには、需要者の範囲は各経済圏の中小企業、供給者の範囲は各経済圏または長崎県、というように、需要者の範囲と供給者の範囲を分けて画定を論ずればよかったのではないか。
この場合には、「長崎県」という市場画定はせず、経済圏の数(8)だけの市場が画定されることとなる。このときは、例えば、次のようにすることが考えられる。
供給者の範囲も各経済圏として、各経済圏外の供給者を隣接市場からの競争圧力などとして評価する。
供給者の範囲を長崎県とする。
地理的範囲を論ずるときに、供給者の地理的範囲なのか需要者の地理的範囲なのかを明らかにしない市場画定を堅持したために生じた紛れであるように思われる。
「により…競争を実質的に制限することとなる」の要件
反競争性なし
事業性貸出し以外(審査結果2頁)
大企業・中堅企業向け(審査結果6〜9頁)
中小企業向け・五島経済圏(審査結果12頁)
反競争性あり → 違反( → 問題解消措置)
中小企業向け・長崎県
中小企業向け・県南等3経済圏
因果関係なし
地方公共団体向け(審査結果3頁)
中小企業向け・小値賀経済圏(審査結果12頁)
中小企業向け・対馬等3経済圏について下記
対馬等3経済圏(審査結果14頁=下記画像)
第1段落(反競争性あり)
「対馬等3経済圏においては、実質的な競争事業者は存在せず、競争事業者からの競争圧力は認められない。」
第2段落(一般論)
「一般的に、各事業者にとって最も効率的な供給量(最小最適規模:事業者にとって平均費用が最低となる供給量)との関係で一定の取引分野における市場規模が十分に大きくなく、複数の事業者で需要を分け合うと効率的な事業者であっても採算が取れず、複数の事業者による競争を維持することが困難な場合(このような場合には、事業の譲受けにより競争事業者を創出しようにも、不採算を理由に事業の譲受先が見つからないと考えられる。)には、当該複数の事業者が企業結合を行い1社となったとしても、当該企業結合により一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと認められる。」
第3段落(対馬等3経済圏に当てはめ)
「対馬等3経済圏では、本件統合により競争を実質的に制限することとはならないと認められる。」
shiraishi.icon実質的には、1社でなければ効率性を得られない、という理由付けであると考えられるが、本件企業結合によって具体的に効率性が得られることについては全く言及がない。したがって、複数の事業者による競争を維持することが困難であるので、本件企業結合をしてもしなくても同じ、という意味で、本件企業結合行為と弊害との間に因果関係がないという理由付けによるものと理解しておくのが(取り敢えず)妥当であると思われる。
同様のご指摘
第4段落
しかし、「ほぼ独占状態となることから、その弊害が生じないよう所要の措置が講じられることが望ましい。」
→ 当事会社にも伝えた(審査結果15頁 第6冒頭)
→ 「金利等のモニタリング」について、弊害防止のための措置としての実効性を認めた(審査結果18頁)。
https://gyazo.com/7cc89ac848c05875d4dc2a78fdc78cfd
https://gyazo.com/f0b8fccb0a89549bb283a934f449f198
https://gyazo.com/62b464b802c9f2856a78f8909b583caf
問題解消措置
(いつものことであるが)問題解消措置は、債権譲渡も含め、当事会社が自主的に申し出てきた、という建前(審査結果15頁)。
債権譲渡
申出(審査結果15頁)
「本件債権譲渡」
離島は債権譲渡の対象ではない。
「県南等3経済圏における当事会社グループの事業性貸出しに係る債権のうち」と明記。
公取委による評価(審査結果16〜18頁)
「本件債権譲渡を前提とすれば、当事会社グループが、単独行動によって、長崎県及び県南等3経済圏における中小企業向け貸出しに係る一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと認められる。」(審査結果16頁)
論理的に、本件債権譲渡だけで十分、ということになる。
shiraishi.icon公取委は、債権譲渡には、「競争事業者が一定の顧客基盤を構築し、当事会社グループと代替的な借入先であると認識されるようにな」るというメリットがあることを強調しているように見える(審査結果16頁)。
債権譲渡は、公取委が求めたと報道されている。
金利等のモニタリング
申出(審査結果15頁)
「本件モニタリング」
どの範囲を対象とするのか(例えば、小値賀・五島を含むか、など)定かではない
「[本件モニタリング]の実施状況については、当事会社グループ内部の委員会及び第三者委員会を設置するなどガバナンス態勢を整備してその監視を受けるとともに、金融当局が検査・監督において確認する。」
公取委による評価(審査結果18頁)
「本件債権譲渡が完了するまでの間」について「実効性が認められることから、適切な措置であると認められる。」
本件債権譲渡の対象でない対馬等3経済圏について、「ほぼ独占状態となることによって生じ得る不当な金利の引上げ等を防止するた めの措置として実効性が認められることから、適切な対応と認められる。」
shiraishi.iconあくまで債権譲渡が主であり、それだけで解決したはずであったのであることを強調しているように見える。対馬等3経済圏については、違反を違反でなくするための措置でなく、違反でないが弊害を防止、という位置付け。
公取委の評価がこのようなものであるとすれば、かりに、本件債権譲渡完了後にモニタリングをやめても、排除措置命令の根拠とはならないことになる。
10条9項1号「当該届出に係る株式の取得に関する計画のうち、第一項の規定に照らして重要な事項が当該計画において行われることとされている期限までに行われなかつた場合」(には、いつでも意見聴取通知をできる)
違反と判断した部分については、本件債権譲渡のみで十分である。(「本件債権譲渡が完了するまでの間」は別。上記。)
離島については違反なしと判断。
→ 本件モニタリングは(少なくとも本件債権譲渡後は)「第一項の規定に照らして重要な事項」とは言えない。
shiraishi.icon特になし
報道
日経
Business Journal
評釈等
平山賢太郎
平成30年4月11日 金融庁
金融仲介の改善に向けた検討会議「地域金融の課題と競争のあり方」(平成30年4月11日)
平成30年3月14日 金融庁
金融仲介の改善に向けた検討会議(第12回)議事要旨
「経営統合により寡占・独占のおそれがある場合、金融庁が事後的なモニタリングを行う施策は、適切な制度設計、監督当局としての適切な関与の下であれば、信頼性が認められ、独禁法の先例(東証・大証の経営統合)や独占禁止法の趣旨に沿うと考える。」
https://gyazo.com/39901ab89004409f61a66056f8116479
平成30年2月14日 事務総長定例会見記録
平成29年12月6日 事務総長定例会見
「考え方」(配布資料)
平成29年7月4日
麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要
平成28年7月8日 報告等要請