2021-04-21版
公正取引協会セミナー
このセミナーの基本方針
独禁法に詳しい方々もいらっしゃいますが、独禁法は初めてという方々もいらっしゃいます。
初めての方々にとって入りやすく。
既に詳しい方々の問題提起も歓迎。
講師からは「脇の甘い解説」。
先回りした注意書きを省略する、という意味。
用語の整理
競争法
独禁法に相当する法の国際的通称
1990年頃までの国際的通称「反トラスト法」
独禁法
日本の法律の略称
経済法
(もとはドイツの法分野の名称だが今は)
大学の科目名、司法試験・予備試験の科目名
独禁法違反行為の4類型
競争停止
ハードコアと非ハードコア
価格と非価格
他者排除
搾取
「優越的地位濫用」
企業結合
違反要件
行為要件
各行為類型ごとに異なる
弊害要件
共通
市場で正当化理由なく反競争性をもたらす
価格・品質等(競争変数)が左右される
因果関係
共通
未開拓。事例増加。
法執行(エンフォースメント)
平時
ガイドライン
事前相談
被疑事件
注意・警告・確約認定
排除措置命令
課徴金納付命令
ハードコアカルテル
優越的地位濫用( )
他者排除( )
刑罰
企業結合審査
企業結合実行後に弊害が起こりやすくなる場合に企業結合の実行前に禁止
事前審査
事前届出
排除措置命令を行わない旨の通知(クリアランス)
無条件のもの
問題解消措置を条件としたもの
禁止命令は昭和48年が最新
民事裁判
損害賠償請求(民法709条、独禁法25条)
差止請求(独禁法24条)
契約条項や解約行為などが公序違反で無効(民法90条)
最近の改正
平成25年改正(平成27年4月1日から施行)
審判制度廃止。若干の経過措置事件あり。
平成28年改正(平成30年12月30日から施行)
確約制度(実例が続々と登場)
令和元年改正(令和2年12月25日から施行)
課徴金そのものの改正
減免制度の改正・調査協力減算制度の導入
判別手続(秘匿特権)(法案提出交換条件)
ハードコアカルテルとは
水平的合意による競争停止のうち、
価格に関するもの
価格に明確に影響するもの
(入札談合は上記どちらかに入る)
課徴金対象ともなる
言い換えれば、業務提携などの非ハードコアカルテルは違反でも課徴金対象とならない(隠れ蓑を除く)
日本独禁法では2条6項で定義
7条で排除措置命令、7条の2で課徴金納付命令
ハードコアカルテルの違反要件論(特徴)
行為要件の成否が焦点
弊害要件・因果関係は、ほぼ自動的に、満たすとされる
ハードコアカルテルの行為要件
「意思の連絡」(「合意」)
具体例
ハードコアカルテルの課徴金
基本的には、「実行期間の当該商品又は役務の売上額の10%」
令和元年改正で「当該商品又は役務の売上額」以外が種々追加されたが省略
「実行期間」(=課徴金対象期間)
改正前:最高で違反行為終了から遡り3年
改正後:最高で違反行為終了から遡り10年
それだけ長く違反行為をしていることが前提
ハードコアカルテルの刑罰
一定割合が刑事事件となる
自然人従業者:執行猶予付き懲役刑
法人:罰金
垂直的制限のうち価格制限も、同様
いわゆる「再販」(=再販売価格拘束)を中心とするもの
垂直的制限のうち非価格制限は、水平的合意のうち非ハードコアカルテルと同様、弊害要件の成否をフルスペックで論ずることになる。