連帯
フランスで生まれた理念・概念
個人が社会の中で生存している以上、人間は様々な形で他者と接触する中でしか生活し得ないというところに連帯が発生する根源がある
その意味で、連帯は人類社会に常に存在する
19 世紀のフランスで、自由主義思想と社会主義思想の考え方の対立が高まり、現実の社会問題も改善されない状況の中、レオン・ブルジョワ (Léon Victor Auguste Bourgeois) が主唱したのが連帯の考え方の再構成
ブルジョワが科学的・道徳的双方の観点から再構成して提示した連帯の体系は次の通り
1. 人間社会には、人の意思にかかわらない自然的事実としての連帯 (「事実としての連帯」) が存在していることが出発点であるが、
現に自分たち誰もが社会の中に生まれてきて生きている事実
その事実は、過去及び同時代に生きる人類の能力と活動の蓄積によって実現されているため、共同体のメンバーである全ての個人に、自分以外のメンバー (社会に生きる万人) に対する 「何らかの」 義務 (「社会的債務」) が生じる
2. 人間社会には別途、義務的な性格を有する 「義務としての連帯」 が存在する
各メンバーは、社会を存立させていくために、メンバー間の不公平を是正したり、生活のリスクへの負担を分け合うことについて、自由な議論と合意を通じて、義務としてのルールを設定し (「義務としての連帯」)、それを果たすことで正義を実現することが必要
連帯思想は個々人の抱えるリスクへの社会的対応を促進する役割を担った
すなわち、社会保障の萌芽ともいうべき福利厚生や共済などの共助の仕組みが発展するに当たっての媒介として機能
フランスでは、連帯思想が社会保険制度の段階的な充実過程につながり、強制加入を最大の特徴とする 1930 年の 「社会保険法」 の成立に結実
連帯の考え方は、日本の社会保障制度にも大きな影響を与えた
スウェーデン等では、連帯とほぼ同様の意味で共生という言葉が使われることも多い
参考文献
平成 24 年版厚生労働白書 -社会保障を考える-