日本の社会保障制度
日本の社会保障制度は、第二次世界大戦前より形成されてきたが、社会保障の意義について国民的に議論され、政策が本格的に発展されるようになったのは、第二次世界大戦後
1947 年 (昭和 22 年) に施行された日本国憲法第 25 条においていわゆる生存権が規定され、戦後の日本が福祉国家の建設を目指すことを内外に宣言した
憲法第 25 条を受けて、社会保障の政策のみならず、理論的な研究にまで影響を及ぼす形で社会保障の概念を明示したのが、1950 年 (昭和 25 年) の 「社会保障制度に関する勧告」
近年では、社会保障は、一般に次のものとされている
国民の生活の安定が損なわれた場合に、国民にすこやかで安心できる生活を保障することを目的として、公的責任で生活を支える給付を行うもの
▲ 社会保障制度審議会<社会保障将来像委員会第 1 次報告> (1993 年 (平成 5 年))
社会保障の機能としては、主として次の 3 つが挙げられる
1. 生活安定・向上機能
2. 所得再分配機能
3. 経済安定機能
従来、日本の社会保障は主に高齢者向けだった
日本型雇用システムの下では、企業は不況期になっても従業員を直ちに解雇するのではなく雇用維持を図ろうとするため
日本型雇用システムの中で、の変化などに対応するためには、社会保障の改革が必要である
1990 年代以降の国内外の社会経済情勢の変化の中で、これまでの社会保障が前提としていた日本の社会の構造は、大きく変化
特に、日本型雇用システムは、経済のグローバル化、国際競争の激化や産業構造の変化への適応を迫られた結果、給与水準の比較的低い非正規雇用の労働者が労働者全体の 3 分の 1 を超えるなど、企業における就業形態が多様化し、従来のような生活保障機能は低下傾向
いわゆる性別役割分業の意識が薄れ、女性の社会進出が進む中で、専業主婦が育児や介護を担うというロールモデルは既に限界となっているともいわれている
加えて、少子高齢化の急速な進展に伴い高齢人口が年々増加するため、社会保障支出も急速に拡大
このような社会の変化に対応して、社会保障制度も改革していくことが必要であり → どのように現役世代を支援し、高齢世代を支えていくかについて検討が行われ、「社会保障と税の一体改革」 が進められている
関連
日本の社会保障
参考文献
平成 24 年版厚生労働白書 -社会保障を考える-