扶助原理
社会保険においては、保険原理の原則は、扶助原理によって次のように修正される
給付反対給付均等の原則は、社会保険においては基本的に成立しない
具体的な理由は、次の 3 点
1. 保険料の拠出に関して、国や地方自治体が公費により財政負担をする場合がある
この公費負担は、国民の最低限の生活保障は国が負担することを象徴する
低所得者の保険料負担の肩代わりや保険者の財政運営の安定化等の意味
2. 被保険者が本来支払うべき保険料を支払っていなくとも、一定の要件の下で給付が支給されることがある
社会保険では、保険料の減免が実施されており、保険料の拠出と給付との間には緩やかな対価性が想定されるにすぎない
3. 個々の被保険者について、保険料の額と給付の額の数学的な対応関係は予定されていない
社会保険では、個別化された厳密なリスク計算は行われず、高リスク集団を低リスク集団が助けるという社会政策的な見地から、逆選択を防止するための強制加入や保険料 (率) 一律制が導入されている
収支相当の原則は、次の 2 つの水準によって、その成立が判断され得る
給付を賄うための財源として、(一般の保険のような) 保険料のみの水準では守られないこともある
国等による公費負担や保険者間の財政調整を含めた水準では守られていると言える
参考文献
社会保険による財源調達