20世紀における社会保障・福祉国家への批判
ハイエクによれば、福祉や再分配の領域における国家の政策では、分配の基準について、国家が判断することとなるが、こうした基準の設定を限定的な知しか持ち得ない国家が行うことは、恣意的な分配にしかなり得ない
むしろ、国家が介入せず、この種の判断を個々人にゆだねるならば、自由に交わる個人はそれぞれの持つ情報や知恵を結晶化させて 「自生的秩序」 を生み出す
それを代表する自由市場は、いかなる中央の計画者にも入手できない種類の知を提供する価格というシグナルを備え、個々人を全体的な善に導く経済活動に向かわせると主張
すなわち、国家が計画を策定し、特定の目的を達成するため資源を再分配することは、個人の自由を侵害するだけでなく、それ自身に任せておけば全ての人に利益を与えるはずの市場プロセスを非効率なものにして、長期的には社会の発展を阻害することになるとする 理由
1. 裁量的な福祉政策は現に望ましい結果をもたらしてはいない
2. 家族の絆や社会のダイナミズムを失わせ、人々の自由を阻害している フリードマンは、政府のなすべき役割は、次のものに限定されるべきと主張 1. 市場を通じた経済活動の組織化の前提条件(ゲームのルール)を整備すること、
2. 市場を通じて達成できるかもしれないが多大な費用がかかること
そして、「負の所得税」 制度という単一の包括的なプログラムを導入し、アメリカの社会保障制度は解体すべきであると主張した 背景にあるのは、効率を重視する市場メカニズムへの大きな信頼であり、自由な経済秩序は市場メカニズムの貫徹によって、個人の自由と福祉を最もよく増進できるという哲学 参考文献